10月20日、JR嵯峨嵐山駅に降り立ったとき、胸は期待と不安でいっぱいでした。思っていた以上に京都の風は冷たく、寒さと緊張に身震いしました。オーダー当日の思い出を書き残します。天使の里でフルチョイスしたい方の参考になれば、幸いです!
フルチョ前の予行演習
ドールポイントにはおそらく3回ほど相談(仮組相談)に行ったのではないかと思います(店員さん、ありがとうございました…!)。最初はフルチョ自体の説明を受け、2回目は細々とした質問をお尋ねし、3回目はオーダーの総額を試算していただきました。オーダーの予行演習と総額の試算はやっておいてよかった!と感じました。オーダーにかかる時間は、『フルチョイスハンドブック2021』によれば2時間ほどを想定されています。実際にかかったのもちょうど2時間でした。この2時間は、本当にあっという間です。「自分は今、オーダーのどこを決めていて、どこで悩んでいるか」をあらかじめ把握しておくと、当日にゆとりを持って考えることができます。
フルチョイスの基本価格はあくまで最低限かかる金額なので、オプションを加えていくと意外な出費が生まれます。ご自分のお財布やドールとの向き合い方で取捨選択していきましょう!私は店員さんに
「この調子だと、たぶん当日はさらに増えるというくらいの気持ちでいきましょう!!!」
と念を押されつつ、試算しました。結構な額になりました…。
当日の持ち物
当日忘れてはいけないものを最低限挙げておきます。
・会員証、またはボークスのアプリ
(これがないと入れません!アプリの会員証画面を提示するとポストカードが貰えることもあります)
・写真付きの身分証明書1枚、もしくは写真のない身分証明書2枚
公式の情報はこちら
・フルチョイス用の印刷した資料
(参考にするか悩んでいる・なんとなく好きだと感じるドールの写真も持っておくとお役立ちです)
・お金またはクレジットカード
(内金は33000円ですが、自宅や店舗で受け取るときなどは全額前払いになります。クレジットカードは高額決済をクレカ会社に怪しまれて止められることもたまにあるらしいので、注意です。サファイアの応募のときに止められました…。)
最寄り駅であるJR嵯峨嵐山駅にはコインロッカーがあるので、遠方から来る方は預けると楽です。ただ、観光客が多いシーズンだとロッカーに空きがないかもしれません。
準備が万端になったら、いざ天使の里へ!
初めての天使の里
JR嵯峨嵐山駅の北口からしばらく歩くと、なんだか大きい敷地の建物が現れます。厳めしい入り口を入っていくと、会員証と身分証明書の提示を求められます。同伴しているパートナーはボークスの会員ではありませんが、身分証明書を提示して、用紙に必要事項を記入したら入れました。アプリの画面を提示したら、キャンペーンでポストカードを貰いました。
そして、一番大切なフルチョイスする上で絶対に必要な紙を受け取ります。白くて小さめの二つ折りの紙です。この紙を開くと、「フルチョイス受付整理券」と左下に小さく書いてあるのが分かります。この番号と自分の名前を地下1階のフルチョイスオーダールームの受付表に書くことになります!なくさないように気を付けましょう。
※こちらのブログのおかげで、ちゃんとこの紙に記されていた番号に気づけました。ありがとうございました…!
ここで緊張のあまり、受付にスマホを置き忘れます。しばらく真っ青になって探していました。皆さんは忘れないように気を付けましょう…。
恐怖の瞬間
まだ1回しか行ったことがないので、休日の天使の里の様子を知らないのですが、平日の天使の里は静寂に包まれています。秋なので、神楽のような音楽が仄暗い店内に響き渡っていました。階段を上がれば、今までに登場したドールたちやワンオフの子たちがずらりと並んでいます。人よりもドールが多い空間なんて、なかなか経験できないと思います。まるで閉館後の美術館のように密やかな空気に満ちていました。フルチョを前にした緊張がどんどん高まり、落ち着くために館内をゆっくりと見て回っていました。ワンオフの子たちがとても美しかったです。特に水銀燈ヘッドの子は、写真で見るよりも微笑んでいて、光る瞳には命が宿っているようでした。
ある程度気持ちが落ち着いたら、地下1階に降りて、いよいよ受付表に名前を書きます。そこで恐ろしいことに気づきました。
もしかして最後の一枠しか残っていない…?
私が来館したのは金曜日の午後で、13時半ごろに受付表に書きに行っていました。2週間ほど前に秋の新作パーツが登場したこともあってか、その時点で残っていたのは1枠だけでした。
のんきにしてる場合じゃなかった!!!
真っ青になりつつ、震える手で何回も確認して番号と自分の名前を書きます。その後30分くらいは気が気ではありませんでした。はるばる京都に来て、何もできず帰るところでした。遠方から来る人は特に、「真っ先にフルチョイスを予約する」くらいの気持ちで挑むと安心です。
そこからはもう、時間が永遠のようでした。前の枠の人もまだ呼ばれていなかったので、受付表に書いてから1時間~1時間半くらい待っていました。もともと私生活のストレスで腹痛があったのですが、待っている間、胃がものすごくキリキリしたのを覚えています…。ドールに詳しくないパートナーにスーパードルフィーのInstagramを見せて誰が好きか教えてもらったり、フォロワーさんに励まされたりして、なんとか緊張を耐え忍びました。荘厳なBGMをソファで聞きながら、処刑台に連れていかれるのを待つ罪人のような気持ちで待っていました。
※遠方から来る人は、この空き時間でホテルのチェックインの時間を連絡し直したりするのをおすすめします。閉館時間の17時ごろにはフルチョイスは終わるはずです!
あなただけの物語
落ち着くためにもう一度ワンオフの子たちを眺めに行っていました。この一人ひとりの子に、様々なご縁があり、お迎えするオーナーさんの物語があると思うと、深遠な気持ちになりました。『ドルおじ』で真澄さんがスターレットと初めて出会ったときのモノローグが大好きです。
おじさんがドール趣味に目覚める話 (3/8)
— ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話【公式】⭐️単行本第1巻9/8発売! (@dollmeetsmiste1) 2023年8月10日
#漫画が読めるハッシュタグ pic.twitter.com/WNQUVGn47t
フォロワーさんが、ワンオフには「自分のために生まれて、自分を選んでくれた」という感動があると仰っていました。フルチョイスモデルにも、ワンオフモデルにも、スタンダードモデルにも、人それぞれの素敵な物語が託されています。今回オーダーするドールが、わたしにとっての魂の片割れのような子になればいいな、と祈るばかりです。
座っていても落ち着かない気持ちになり、地下1階のドールたちを眺めていたら、15時ごろにとうとう番号と名前が読み上げられました。店員さんの前にちょうどいたので、ものすごく動揺する姿をお見せしてしまいました。いよいよフルチョイスです!
フルチョイスと長いパーツ選びの旅
※パーツ選びの順番はうろ覚えです。
地下1階のフルチョイスオーダーコーナーはまばゆい光に照らされていて、ずらりとヘッドが並んでいます。奥でもう一人、前の番号の人が和気藹々とオーダーをされていました。DAさんに案内されて腰を下ろし、オーダーが始まりました。
まずはフルチョイスに関する注意を受け、そこからボディやパーツを選ぶ作業に移ります。ここでうっかり、101番とSD13精霊のボディを合わせてもらう作業を忘れてしまいました。ヘッドと華奢なボディとの相性が気になっていたので合わせた方がよかったのですが、SD101番と精霊ボディにする!という決意が強く、忘れていました。心配な方は事前に仮組相談で合わせてみるをおすすめします!SD13精霊は性別がないボディなのですが、女の子の身体がベースなので、お迎えドレスなどは女の子の扱いのようでした。FGOの始皇帝が生涯の推しなので、精霊ボディは理想のドールを作るうえで外せません!
ドルポで予行演習したのもあり、決まっているパーツは1000本ノックの勢いで決めていきました。最初に悩んだのはウィッグ!ドルポの店員さんからは、「ある程度妥協で決める部分もある」と聞いていたのですが、それでも全部かわいくて悩みました。ウルフショートとショートボブのどちらにするかがなかなか決められません。そんなとき、ドルポの店員さんの「髪色で決めるのもアリです!」という声を思い出します。ドルポでウィッグの髪色の見本を見たときに、チャコールブラウンが一番好きだと感じました。チャコールブラウンの色があるウィッグは少ないので、ショートボブで決定!
次に時間をかけたのはアイです。色々なサイズのアイをじっくり手に取って眺めることができます。緊張しすぎて遠巻きに見るに留まってしまいましたが、色が本当に綺麗!SD101番なら16mmか18mmで、18mmだとかわいい印象になると説明されました。あどけないサファイアの目を思い出して、18mmに決まりました。グラスアイはドーム(虹彩部分)が高いもの(ハイドーム)と平べったいもの(ロードーム)があります。ハイドームの方がなんとなく目が合う気がしてハイドームに。ドキドキ文芸部のモニカが大好きなので、茶髪に緑目は譲れない!…と思っていたのですが、ディーラーさんの緑のグラスアイ(18mm)をサファイア用に買っていたので、好きな色を選びました。試着すると暗い色の方がかわいらしく見えたので、茶色と優しいピンクのアイに決定!造形村アイは一期一会なので、じっくり悩むのもおすすめです。
個人的に最難関だったのはまつげ選び!つけまつげの種類は多いうえに、アイのようにつけたり外したりして見ることができません。よくわからないものをよくわからないまま選ぶ…ということになりやすいです。
個人的にやっておいてよかったことは、
・好きな目力のドールの写真を持ってくる
・天使の里のお店にいるモデルのドールを見る
です。天使の里のアウトフィットを販売しているコーナーのモデルは、使用しているつけまつげの品番が掲載されています。気に入った子がいれば、何番のまつげか覚えておくと安心です。完全に再現できるとは限らないのですが、写真の持参もおすすめです。わたしは、同じヘッドのワンオフの子の写真をお見せして、ブラウンとブラックの二枚取り付けにしました。目力はなんぼあってもいいですからね。二枚取り付けはお迎え後もできるそうなので、こだわりがなければ一枚でも大丈夫です。白まつげは個性が出てとってもかわいいので、白まつげ派の人は逃さず選んじゃいましょう。
ヘッド関係で最後に選んだのが、シュピットでした。Twitterでアンケートを取ったところ、以下の結果になったので、付けて後悔する可能性は低いのではないかと思います。
DAさんに、シュピットはある方が便利か尋ねると、「人間用のヘアピンをつけられたり、磁石でウィッグのズレを止められたりしますよ!」と教えていただきました。実際に見てみると、狼耳が…かわいい…!複雑な色味で着彩されていて、すごく綺麗です。Instagramで見たかわいい子も狼耳だったので、これを選びました。
次はハンドパーツです。これも選択肢が多い!フルチョイスハンドブックに載っているラインナップとほとんど変わらなかったので、ここは本を見て決めておくと当日が楽です。小さめのものと大きめのものがあるそうです。ボディが華奢なので小さめをおすすめされたのですが、里限定に射抜かれて大きめのものを選択。大きめに精霊ボディでも違和感はなかったです!指の微妙な開き方が本当に美しい~!後から買えるものもあるので、フルチョや里の限定のものを確保すると後悔を防げます。
盲点だったのはフットパーツです。実は、SDのと女の子・男の子とSD13女の子にはベーシックな形をした足だけでなく、ヒール足と下駄足があります。そしてこの「ヒール足」は、サファイアのようなSDGr女の子の「ヒール脚」(こちらは「脚」表記が多い気がします。)とは別物です。「ヒール脚」は足首が固定されているのに対して、「ヒール足」は足首が付け替えられ、足首も動きます。「ヒール足」のSDのドールと暮らしているフォロワーさんから教えていただいた内容をまとめておきます。
<ヒール足の特徴>
・ヒールを履いたようなかわいい足の形をしています。 爪先がきゅっと集まっていて、土踏まずが持ち上がったような形です。
・立つときの安定感はあまりありません。SD女の子用の少しヒールがある靴でもそこまで安定しないそうです。
・かわいいヒールのある靴を履かせたい・足の形にこだわりがあるならオススメ!
・店舗では現在買うことができません。
・SDなら男の子でもヒール足にできます!
DAさんは、「より人間らしい形になっています!」とヒール足をおすすめしてくださいました。わたしは買おうとしているのがおでこ靴なのと、活発な少年らしい印象を与えたかったのとで普通の足にしました。でもヒール足は限定なので、後からちょっと悩みました…。後悔したくない方は、ぜひご検討を!
最後に、オプションを選びます。お迎えドレスは着せたい雰囲気のものとは異なっていたので選ばず。靴まで付いてとってもリーズナブルなうえにフルチョ限定なので、欲しい方は買っちゃいましょう。里帰りメニューは全然正解が分からなかったのですが、やれるだけやっておこうの精神でパーティングライン消しと全身コーティングを選びました。DAさんがメリットとデメリットを伝えてくださるので、じっくり考えちゃいましょう。コーティングをしても、よく動かす場合は剥がれてしまうらしいです(剥がれたときも対応してくださるそうです)。
そんなこんなで、やっとメイクに入るまでの選択が終わります。このブログが既に5000字を費やしてしまったように、メイクに入るまでは本当に…長い!体力勝負です!自分で物事を決めるってすごく体力が要ることなので、事前に決められるものは決めていくと、メイクに時間と体力をかけられます。
いよいよメイクへ!
なんて遠い廻り道………。パーツ選びの旅は大変でしたが、その頃にはDAさんへの厚い信頼が生まれ、緊張も解きほぐされていました。メイクのオーダーに入ったときに、恐る恐る持ってきた資料をお渡ししました。受け取ったDAさんは、丁寧に一枚の資料を読み込んでくださいました。安心してちょっと泣きそうでした。私のオーダーの概要を掴んだDAさんは、今度は口頭で詳しくオーダー内容を聞き取ります。
コンセプトは、「サファイアを大人っぽく」「中性的に」だったので、まずはそれを伝えました。わたしの場合、メイクが薄くて後悔することはあっても、濃くて後悔することはないと考えていました。資料に持って行った公式のサファイアの画像は、強い光が当たって明るめにメイクが映っています。同じ肌の色のワンオフの写真やイラストも添付しましたが、メイクの濃さをどう伝えるか悩んでいました。
「資料より濃くなっても大丈夫なので、SNSに写真をアップすることも多いと思いますし、濃くメイクしてほしいです」
と伝えると、「写真映えするように資料の子より濃いメイクを」と書いていただきました。これなら安心!実際にお迎えしないと分かりませんが、ここで不安が一つ消えました。
その他のメイクは、サファイアと、もう一人の子をミックスした感じで指定していきます。こだわりのポイント(眉の角度、色、まつげなど…)は、モデルを指定した上で、どのように描いてほしいか言葉にしました。華やかな顔になってほしかったので、「まつげは資料より多くてもいいので、バサバサにしてください!」と伝えました。どうなっちゃうんでしょう!?
あまり決まっていなかった口元・チークは、実物のモデルやメイクブックも参考にして決めました。表現したい雰囲気が決まっていれば、DAさんが表現を決めるお手伝いをしてくださいます。イメージを固めれば固めるほどオーダーは明確になりますが、悩むところがあっても大丈夫です。唇の縦皺を入れるか悩んだのですが、控えめに入れることもできるそうです。ノーズシャドウは既に顔立ちがはっきりしているので選びませんでした。チークはなんぼあってもいいですからねということで、耳や顎にも入れてもらいました。ディオ・ブランドーみたいに耳にほくろがあると素敵だと思ったので相談したところ、OKでした!目や唇のグロスの有無を選んだら…完了です!
オーダーを終えて
オーダーが終わるころには閉館時間が近く、蛍の光がずっと流れていました。地下1階で蛍の光を聞き続け、ヘッドたちに囲まれていると、なんだか神隠しに遭って異界に迷い込んだかのような奇妙な気持ちになりました。DAさんは最後まで丁寧に対応してくださりました。今日この場所でフルチョイスしてよかったなあ…と感慨深かったです。
あれだけ不安だったフルチョイスですが、終わってみるとすごい達成感とワクワクがこみ上げてきました。準備をした甲斐もあり、何よりドルポの店員さんと里のDAさんのご尽力で、後悔のないフルチョができたと実感しています。応援してくださったパートナーやフォロワーさんの言葉もすごく励みになりました。『ドルおじ』の第7話で、スターレットの服を決められずに思い悩む真澄さんに、星野くんがかけた言葉は、わたしを奮い立たせてくれました。
ドルおじ♯ドールに沼ったおじさんの話 7 (6/6)#漫画が読めるハッシュタグ pic.twitter.com/IgbYoeDXIE
— さとうはるみ ドルおじ1巻9/8発売 (@i_k0726) 2023年1月17日
自分で選び、決めることができた。その事実がすごく嬉しかったです。様々な出会いが、支えてくれた人への感謝が、ドールに込められたように思います。なんだか憑き物が落ちたかのように、オーダーが終わるころにはスッキリしていました。
天使の里を出てパートナーと話していると、なんだか今日起きたことは全て夢だったような気がしました。店員さんは狐と狸で、今手渡されたオーダーシートは明日の朝起きたら葉っぱになっているんじゃないか。とんでもないことですが、それくらい不思議な体験でした。なんだか、オーダーする体験自体が、ものすごく楽しかったです。
これにて、オーダー編は終了です。お迎え編は1月上旬になります。 お迎え予想図を描いたりして、楽しく待ちたいと思います!
ありがたいご縁に恵まれて、ブログはたくさんの素敵な方々に大切に読んでいただきました。自分自身も文章を書く楽しさに気づけました。お迎えまではまだまだあるのですが、購入したアウトフィットや、天使の里周辺のおすすめのご飯など、書き残したい思い出もたくさんあります(嵯峨嵐山で食べたものは全て美味しかったです!)。なので、不定期ですが、これからもゆっくりと更新していこうと思います。
孤独を癒そうとしてドールに出会い、その出会いから、今度は素敵な方々と出会うことができて、とっても楽しいです。ドールに導かれて、本当に良かったと感じています。フルチョっ子お迎えまでのドキドキの日々を、そしてお迎えしてからの楽しい日々を、皆さんにも楽しく見守っていただけましたら幸いです!