ジャムの瓶の底

イラストのことや漫画やアニメや特撮のことを書きます。自分用の備忘録です。

フルチョやってみたレポその③ オーダー編  天使の里でフルチョイスしよう!

10月20日JR嵯峨嵐山駅に降り立ったとき、胸は期待と不安でいっぱいでした。思っていた以上に京都の風は冷たく、寒さと緊張に身震いしました。オーダー当日の思い出を書き残します。天使の里でフルチョイスしたい方の参考になれば、幸いです! 

渡月橋の写真

 

 

フルチョ前の予行演習 

ドールポイントにはおそらく3回ほど相談(仮組相談)に行ったのではないかと思います(店員さん、ありがとうございました…!)。最初はフルチョ自体の説明を受け、2回目は細々とした質問をお尋ねし、3回目はオーダーの総額を試算していただきました。オーダーの予行演習総額の試算やっておいてよかった!と感じました。オーダーにかかる時間は、『フルチョイスハンドブック2021』によれば2時間ほどを想定されています。実際にかかったのもちょうど2時間でした。この2時間は、本当にあっという間です。「自分は今、オーダーのどこを決めていて、どこで悩んでいるか」をあらかじめ把握しておくと、当日にゆとりを持って考えることができます。 

 

フルチョイスの基本価格はあくまで最低限かかる金額なので、オプションを加えていくと意外な出費が生まれます。ご自分のお財布やドールとの向き合い方で取捨選択していきましょう!私は店員さんに 

「この調子だと、たぶん当日はさらに増えるというくらいの気持ちでいきましょう!!!」 

と念を押されつつ、試算しました。結構な額になりました…。 

 

当日の持ち物 

当日忘れてはいけないものを最低限挙げておきます。 

会員証、またはボークスのアプリ 
(これがないと入れません!アプリの会員証画面を提示するとポストカードが貰えることもあります) 
写真付きの身分証明書1枚、もしくは写真のない身分証明書2枚
 公式の情報はこちら

dollfie.volks.co.jp


フルチョイス用の印刷した資料 
 (参考にするか悩んでいる・なんとなく好きだと感じるドールの写真も持っておくとお役立ちです) 
お金またはクレジットカード 
 (内金は33000円ですが、自宅や店舗で受け取るときなどは全額前払いになります。クレジットカードは高額決済をクレカ会社に怪しまれて止められることもたまにあるらしいので、注意です。サファイアの応募のときに止められました…。) 

 

最寄り駅であるJR嵯峨嵐山駅にはコインロッカーがあるので、遠方から来る方は預けると楽です。ただ、観光客が多いシーズンだとロッカーに空きがないかもしれません。 

準備が万端になったら、いざ天使の里へ! 

 

初めての天使の里 

JR嵯峨嵐山駅の北口からしばらく歩くと、なんだか大きい敷地の建物が現れます。厳めしい入り口を入っていくと、会員証と身分証明書の提示を求められます。同伴しているパートナーはボークスの会員ではありませんが、身分証明書を提示して、用紙に必要事項を記入したら入れました。アプリの画面を提示したら、キャンペーンでポストカードを貰いました。 

 

そして、一番大切なフルチョイスする上で絶対に必要な紙を受け取ります。白くて小さめの二つ折りの紙です。この紙を開くとフルチョイス受付整理券」と左下に小さく書いてあるのが分かります。この番号自分の名前地下1階のフルチョイスオーダールームの受付表に書くことになります!なくさないように気を付けましょう。 

※こちらのブログのおかげで、ちゃんとこの紙に記されていた番号に気づけました。ありがとうございました…! 

note.com

 

ここで緊張のあまり、受付にスマホを置き忘れます。しばらく真っ青になって探していました。皆さんは忘れないように気を付けましょう…。 

 

恐怖の瞬間 

まだ1回しか行ったことがないので、休日の天使の里の様子を知らないのですが、平日の天使の里は静寂に包まれています。秋なので、神楽のような音楽が仄暗い店内に響き渡っていました。階段を上がれば、今までに登場したドールたちやワンオフの子たちがずらりと並んでいます。人よりもドールが多い空間なんて、なかなか経験できないと思います。まるで閉館後の美術館のように密やかな空気に満ちていました。フルチョを前にした緊張がどんどん高まり、落ち着くために館内をゆっくりと見て回っていました。ワンオフの子たちがとても美しかったです。特に水銀燈ヘッドの子は、写真で見るよりも微笑んでいて、光る瞳には命が宿っているようでした。 

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ある程度気持ちが落ち着いたら、地下1階に降りて、いよいよ受付表に名前を書きます。そこで恐ろしいことに気づきました。 

もしかして最後の一枠しか残っていない…? 

私が来館したのは金曜日の午後で、13時半ごろに受付表に書きに行っていました。2週間ほど前に秋の新作パーツが登場したこともあってか、その時点で残っていたのは1枠だけでした。 

のんきにしてる場合じゃなかった!!! 

真っ青になりつつ、震える手で何回も確認して番号と自分の名前を書きます。その後30分くらいは気が気ではありませんでした。はるばる京都に来て、何もできず帰るところでした。遠方から来る人は特に、「真っ先にフルチョイスを予約する」くらいの気持ちで挑むと安心です。 

そこからはもう、時間が永遠のようでした。前の枠の人もまだ呼ばれていなかったので、受付表に書いてから1時間~1時間半くらい待っていました。もともと私生活のストレスで腹痛があったのですが、待っている間、胃がものすごくキリキリしたのを覚えています…。ドールに詳しくないパートナーにスーパードルフィーInstagramを見せて誰が好きか教えてもらったり、フォロワーさんに励まされたりして、なんとか緊張を耐え忍びました。荘厳なBGMをソファで聞きながら、処刑台に連れていかれるのを待つ罪人のような気持ちで待っていました。
※遠方から来る人は、この空き時間でホテルのチェックインの時間を連絡し直したりするのをおすすめします。閉館時間の17時ごろにはフルチョイスは終わるはずです!

 

あなただけの物語

落ち着くためにもう一度ワンオフの子たちを眺めに行っていました。この一人ひとりの子に、様々なご縁があり、お迎えするオーナーさんの物語があると思うと、深遠な気持ちになりました。『ドルおじ』で真澄さんがスターレット初めて出会ったときのモノローグが大好きです。 

 

フォロワーさんが、ワンオフには「自分のために生まれて、自分を選んでくれた」という感動があると仰っていました。フルチョイスモデルにも、ワンオフモデルにも、スタンダードモデルにも、人それぞれの素敵な物語が託されています。今回オーダーするドールが、わたしにとっての魂の片割れのような子になればいいな、と祈るばかりです。 

 

座っていても落ち着かない気持ちになり、地下1階のドールたちを眺めていたら、15時ごろにとうとう番号と名前が読み上げられました。店員さんの前にちょうどいたので、ものすごく動揺する姿をお見せしてしまいました。いよいよフルチョイスです! 

 

フルチョイスと長いパーツ選びの旅

※パーツ選びの順番はうろ覚えです。 

地下1階のフルチョイスオーダーコーナーはまばゆい光に照らされていて、ずらりとヘッドが並んでいます。奥でもう一人、前の番号の人が和気藹々とオーダーをされていました。DAさんに案内されて腰を下ろし、オーダーが始まりました。 

 

まずはフルチョイスに関する注意を受け、そこからボディやパーツを選ぶ作業に移ります。ここでうっかり、101番とSD13精霊のボディを合わせてもらう作業を忘れてしまいました。ヘッドと華奢なボディとの相性が気になっていたので合わせた方がよかったのですが、SD101番と精霊ボディにする!という決意が強く、忘れていました。心配な方は事前に仮組相談で合わせてみるをおすすめします!SD13精霊性別がないボディなのですが、女の子の身体がベースなので、お迎えドレスなどは女の子の扱いのようでした。FGO始皇帝が生涯の推しなので、精霊ボディは理想のドールを作るうえで外せません! 

FGO始皇帝スクリーンショット



ドルポで予行演習したのもあり、決まっているパーツは1000本ノックの勢いで決めていきました。最初に悩んだのはウィッグ!ドルポの店員さんからは、「ある程度妥協で決める部分もある」と聞いていたのですが、それでも全部かわいくて悩みました。ウルフショートとショートボブのどちらにするかがなかなか決められません。そんなとき、ドルポの店員さんの「髪色で決めるのもアリです!」という声を思い出します。ドルポでウィッグの髪色の見本を見たときに、チャコールブラウンが一番好きだと感じました。チャコールブラウンの色があるウィッグは少ないので、ショートボブで決定! 

 

次に時間をかけたのはアイです。色々なサイズのアイをじっくり手に取って眺めることができます。緊張しすぎて遠巻きに見るに留まってしまいましたが、色が本当に綺麗!SD101番なら16mm18mmで、18mmだとかわいい印象になると説明されました。あどけないサファイアの目を思い出して、18mmに決まりました。グラスアイはドーム(虹彩部分)が高いもの(ハイドーム)と平べったいもの(ロードーム)があります。ハイドームの方がなんとなく目が合う気がしてハイドームに。ドキドキ文芸部のモニカが大好きなので、茶髪に緑目は譲れない!…と思っていたのですが、ディーラーさんの緑のグラスアイ(18mm)をサファイア用に買っていたので、好きな色を選びました。試着すると暗い色の方がかわいらしく見えたので、茶色と優しいピンクのアイに決定!造形村アイは一期一会なので、じっくり悩むのもおすすめです。 

 

個人的に最難関だったのはまつげ選び!つけまつげの種類は多いうえに、アイのようにつけたり外したりして見ることができません。よくわからないものをよくわからないまま選ぶ…ということになりやすいです。 

個人的にやっておいてよかったことは、 

・好きな目力のドールの写真を持ってくる 

天使の里のお店にいるモデルのドールを見る 

です。天使の里のアウトフィットを販売しているコーナーのモデルは、使用しているつけまつげの品番が掲載されています。気に入った子がいれば、何番のまつげか覚えておくと安心です。完全に再現できるとは限らないのですが、写真の持参もおすすめです。わたしは、同じヘッドのワンオフの子の写真をお見せして、ブラウンとブラックの二枚取り付けにしました。目力はなんぼあってもいいですからね。二枚取り付けはお迎え後もできるそうなので、こだわりがなければ一枚でも大丈夫です。白まつげは個性が出てとってもかわいいので、白まつげ派の人は逃さず選んじゃいましょう。 

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ヘッド関係で最後に選んだのが、シュピットでした。Twitterでアンケートを取ったところ、以下の結果になったので、付けて後悔する可能性は低いのではないかと思います。 

「とりあえずつけるのがオススメ!」に64%、「つけたいオプションがあればオススメ!」に36%の票が入っている。つけないことを勧めた人はいなかった。

シュピットに関するTwitterでのアンケートの結果

DAさんに、シュピットはある方が便利か尋ねると、「人間用のヘアピンをつけられたり、磁石でウィッグのズレを止められたりしますよ!」と教えていただきました。実際に見てみると、狼耳が…かわいい…!複雑な色味で着彩されていて、すごく綺麗です。Instagramで見たかわいい子も狼耳だったので、これを選びました。 

t.co

 

次はハンドパーツです。これも選択肢が多いフルチョイスハンドブックに載っているラインナップとほとんど変わらなかったので、ここは本を見て決めておくと当日が楽です。小さめのものと大きめのものがあるそうです。ボディが華奢なので小さめをおすすめされたのですが、里限定に射抜かれて大きめのものを選択。大きめに精霊ボディでも違和感はなかったです!指の微妙な開き方が本当に美しい~!後から買えるものもあるので、フルチョや里の限定のものを確保すると後悔を防げます。 

 

盲点だったのはフットパーツです。実は、SDのと女の子・男の子とSD13女の子にはベーシックな形をした足だけでなく、ヒール足下駄足があります。そしてこの「ヒール足」は、サファイアのようなSDGr女の子の「ヒール脚」(こちらは「脚」表記が多い気がします。)とは別物です。「ヒール脚」は足首が固定されているのに対して、「ヒール足」は足首が付け替えられ、足首も動きます。「ヒール足」のSDのドールと暮らしているフォロワーさんから教えていただいた内容をまとめておきます。 

 

<ヒール足の特徴> 
・ヒールを履いたようなかわいい足の形をしています。 爪先がきゅっと集まっていて、土踏まずが持ち上がったような形です。 
・立つときの安定感はあまりありません。SD女の子用の少しヒールがある靴でもそこまで安定しないそうです。 
・かわいいヒールのある靴を履かせたい・足の形にこだわりがあるならオススメ! 
・店舗では現在買うことができません。 
・SDなら男の子でもヒール足にできます! 

 

DAさんは、「より人間らしい形になっています!」とヒール足をおすすめしてくださいました。わたしは買おうとしているのがおでこ靴なのと、活発な少年らしい印象を与えたかったのとで普通の足にしました。でもヒール足は限定なので、後からちょっと悩みました…。後悔したくない方は、ぜひご検討を! 

 

最後に、オプションを選びます。お迎えドレスは着せたい雰囲気のものとは異なっていたので選ばず。靴まで付いてとってもリーズナブルなうえにフルチョ限定なので、欲しい方は買っちゃいましょう。里帰りメニューは全然正解が分からなかったのですが、やれるだけやっておこうの精神でパーティングライン消しと全身コーティングを選びました。DAさんがメリットとデメリットを伝えてくださるので、じっくり考えちゃいましょう。コーティングをしても、よく動かす場合は剥がれてしまうらしいです(剥がれたときも対応してくださるそうです)。 

 

そんなこんなで、やっとメイクに入るまでの選択が終わります。このブログが既に5000字を費やしてしまったように、メイクに入るまでは本当に…長い!体力勝負です!自分で物事を決めるってすごく体力が要ることなので、事前に決められるものは決めていくと、メイクに時間と体力をかけられます。 

 

いよいよメイクへ! 

なんて遠い廻り道………。パーツ選びの旅は大変でしたが、その頃にはDAさんへの厚い信頼が生まれ、緊張も解きほぐされていました。メイクのオーダーに入ったときに、恐る恐る持ってきた資料をお渡ししました。受け取ったDAさんは、丁寧に一枚の資料を読み込んでくださいました。安心してちょっと泣きそうでした。私のオーダーの概要を掴んだDAさんは、今度は口頭で詳しくオーダー内容を聞き取ります。 

 

コンセプトは、「サファイアを大人っぽく」「中性的に」だったので、まずはそれを伝えました。わたしの場合、メイクが薄くて後悔することはあっても、濃くて後悔することはないと考えていました。資料に持って行った公式のサファイアの画像は、強い光が当たって明るめにメイクが映っています。同じ肌の色のワンオフの写真やイラストも添付しましたが、メイクの濃さをどう伝えるか悩んでいました。 

「資料より濃くなっても大丈夫なので、SNSに写真をアップすることも多いと思いますし、濃くメイクしてほしいです」 

と伝えると、「写真映えするように資料の子より濃いメイクを」と書いていただきました。これなら安心!実際にお迎えしないと分かりませんが、ここで不安が一つ消えました。 

 

その他のメイクは、サファイアと、もう一人の子をミックスした感じで指定していきます。こだわりのポイント(眉の角度、色、まつげなど…)は、モデルを指定した上で、どのように描いてほしいか言葉にしました。華やかな顔になってほしかったので、「まつげは資料より多くてもいいので、バサバサにしてください!」と伝えました。どうなっちゃうんでしょう!? 

 

あまり決まっていなかった口元・チークは、実物のモデルやメイクブックも参考にして決めました。表現したい雰囲気が決まっていれば、DAさんが表現を決めるお手伝いをしてくださいます。イメージを固めれば固めるほどオーダーは明確になりますが、悩むところがあっても大丈夫です。唇の縦皺を入れるか悩んだのですが、控えめに入れることもできるそうです。ノーズシャドウは既に顔立ちがはっきりしているので選びませんでした。チークはなんぼあってもいいですからねということで、耳や顎にも入れてもらいました。ディオ・ブランドーみたいに耳にほくろがあると素敵だと思ったので相談したところ、OKでした!目や唇のグロスの有無を選んだら…完了です! 

 

オーダーを終えて 

オーダーが終わるころには閉館時間が近く、蛍の光がずっと流れていました。地下1階で蛍の光を聞き続け、ヘッドたちに囲まれていると、なんだか神隠しに遭って異界に迷い込んだかのような奇妙な気持ちになりました。DAさんは最後まで丁寧に対応してくださりました。今日この場所でフルチョイスしてよかったなあ…と感慨深かったです。 

 

あれだけ不安だったフルチョイスですが、終わってみるとすごい達成感とワクワクがこみ上げてきました。準備をした甲斐もあり、何よりドルポの店員さんと里のDAさんのご尽力で、後悔のないフルチョができたと実感しています。応援してくださったパートナーやフォロワーさんの言葉もすごく励みになりました。『ドルおじ』の第7話で、スターレットの服を決められずに思い悩む真澄さんに、星野くんがかけた言葉は、わたしを奮い立たせてくれました。

 

自分で選び、決めることができた。その事実がすごく嬉しかったです。様々な出会いが、支えてくれた人への感謝が、ドールに込められたように思います。なんだか憑き物が落ちたかのように、オーダーが終わるころにはスッキリしていました。 

 

天使の里を出てパートナーと話していると、なんだか今日起きたことは全てだったような気がしました。店員さんは狐と狸で、今手渡されたオーダーシートは明日の朝起きたら葉っぱになっているんじゃないか。とんでもないことですが、それくらい不思議な体験でした。なんだか、オーダーする体験自体が、ものすごく楽しかったです。 

 

これにて、オーダー編は終了です。お迎え編は1月上旬になります。 お迎え予想図を描いたりして、楽しく待ちたいと思います!

狼の耳を付け、セーラー服を着たショートボブの人物のイラスト

フルチョイスした子のイメージイラスト

 

ありがたいご縁に恵まれて、ブログはたくさんの素敵な方々に大切に読んでいただきました。自分自身も文章を書く楽しさに気づけました。お迎えまではまだまだあるのですが、購入したアウトフィットや、天使の里周辺のおすすめのご飯など、書き残したい思い出もたくさんあります(嵯峨嵐山で食べたものは全て美味しかったです!)。なので、不定期ですが、これからもゆっくりと更新していこうと思います。 

 

孤独を癒そうとしてドールに出会い、その出会いから、今度は素敵な方々と出会うことができて、とっても楽しいです。ドールに導かれて、本当に良かったと感じています。フルチョっ子お迎えまでのドキドキの日々を、そしてお迎えしてからの楽しい日々を、皆さんにも楽しく見守っていただけましたら幸いです! 

 

フルチョやってみたレポ:その②準備編 オーダー内容を決めよう!

※ここからは実用的なお話も語ってまいります! 

フルチョイスをすると決めたものの、そもそも自分は本物のドール自体を見た経験自体がほとんどありませんでした。そんな状態から、天使の里でオーダーするまでにどのようにしてオーダー内容を固めていったかを記していこうと思います。 

 

 

一番伝えたいこと

サファイアの抽選販売で落選してしまった後、わたしはドールのお迎えに焦燥感さえ覚えていました。フルチョを考えていると、「一日でも早くうちの子に会いたい!」という気持ちはどうしても出てくると思います。それでも今回の記事で一番伝えたいのは、

フルチョは焦らず、時間をかけて考えよう!という文章に集中線が引いてある画像

ということです。

魅力的なドールと向き合っていると、ついついお財布の紐も緩くなります。金銭感覚がぐにゃあっ‥としてきます。しかしながら、フルチョイスモデルは大切なお金と時間を捧げて、様々な人々の手を渡って作り上げられるかけがえのない存在です。フルチョっ子は逃げません。しっかり考えて、考えつくして、自信を持って悔いのない選択をする。そんな状態でオーダーするための一助として、このブログが役に立てば幸いです。

 

実物を見てみよう 

スーパードルフィー60cmほどの大きさであることは知っていても、それが実際にはどのような存在感であるかは想像できませんでした。そこで、最寄りのドールポイントに行って、展示を見ることにしました。そのときのドールポイントでは、ちょうどメモリアルワンオフがたくさん展示されていて、ドールを見るには格好の機会でした。 

「想いでの街、原宿」シリーズ発売記念 天使のすみか SDメモリアルワンオフモデル | ボークス公式 ドルフィー総合サイト

 
 
 
 
 
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実物は大きいです!InstagramTwitterで見ていると顔の印象が一番強いのですが、思ったよりも等身が高く、顔は小さい。「こんな小さな顔に精巧なメイクがしてあるんだ」と思うと、世界の神秘に触れたかのような気持ちになりました。 写真よりももっとかわいいです。

 

実物を見てみると、ドールの顔からは生命力が漲っていて、生きているようでした。じっと見つめていると、目が合ったと感じる子もいました。ドールの顔と初めて向き合ったものですから、「もしかして運命では?」と思ってしまい、その後しばらく抽選に参加しなかったことを後悔します(今はフルチョして良かったと思っていますが!)。 

 

ワンオフモデルの展示がない時期にも、天使のすみかにはSDのドールが何人かは展示されていると思います(ドールポイントはDDのドールの方が多めです)。個人的には、せっかく行くなら色々な子が確実に展示されているワンオフの公開時期がおすすめです!フルチョの決意を固めて行っても心が揺らぐほどワンオフは綺麗ですが、後述するように、理想のヘッドとメイクを知るにはワンオフの子たちはとても力になってくれます。 

 

ボディを決めよう 

フルチョイスできるスーパードルフィーは、大きく分けて二つのボディの区分があります。40cmくらいのSDMと、60cmくらいのSDの二つです。そこから、性別や体格の違いでもう少しボディの種類が細分化されます。さらに、キャンペーンなどで普段ではオーダーできない体格の良いボディがあるときもあります。

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とりあえず決めておくといいのは、SDMSDのどちらをオーダーするかです。どちらを選ぶかによって、オーダーできるヘッドの種類が異なりますし、着れる服のサイズも変わります。ご自分のライフスタイルや、素敵だと感じるヘッド・ボディに合わせて選びましょう! 

 

個人的には、天使の里限定の「精霊ボディ」に強く惹かれたので、里でオーダーすることに決めました。ベースはSD13女の子のボディなのですが、胸が平らで中性的な見た目が特徴的です。男の子の服も女の子の服も着こなせる中性的な子を作りたかったので、精霊ボディ一択でした! 

 

ヘッドを決めよう 

店舗によってオーダーできるヘッドに限りはありますが、スーパードルフィーには大きなサイズ(SD)の子のヘッドだけでも何十種類もあります。その中から自分の好みのものを選ぶのは、最初に立ちはだかる大きな壁です。公式で販売されているフルチョイスハンドブックには様々なヘッドが載っていますが、実は全てのヘッドが掲載されているわけではありません。現時点での最新版が2021年のものなので、最近出たヘッドは載っていません。 

フルチョイスハンドブックの写真



どこで理想のヘッドを見つけるか。わたしはTwitterInstagramで「素敵!」と思う子を見つけたら何番のヘッドかを確認するようにしました。フルチョイスモデルの子たちは「#フルチョお迎え報告」のタグでたくさん見ることができます。スーパードルフィーの公式Instagramや店舗のブログ、アウトフィットの紹介画像にも、モデルのヘッドの番号が記されています。素敵だと思う子の番号が分かれば、次は「#SD〇番」「#sd_f_〇」(〇は該当するヘッドの数字)で検索して、同じ番号のヘッドの子たちをさらに探します。「どんなメイクでもこのヘッドの子に惹かれる!」というものが見つかれば、かなり方向性は固まります。 

 

わたしの好みにビビッと来たのはSD101番でした。少し吊り目気味だけど優しそうな目、目がしらの丸い粘膜、すらっとした鼻に引き締まった顎、造形の段階で微笑んでいる口元…素敵だと思う子を調べれば101番だと分かるということの連続でした。SNSには、イケメンだけでなく、かっこいい女の子のお写真もありました。これなら中性的な子にもなれるはず!と確信したので、101番のヘッドに決まりました。 

 

※101番のヘッドは2022年の春に登場したヘッドです。こちらに載っています!

「天使の里 SDフルチョイスシステム 2022・春」2022年3月19日(土)~受付開始! | ボークス公式 ドルフィー総合サイト

 
 
 
 
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ただ、101番のヘッドのほとんどはSDGr男の子のボディと組み合わされていて、SD13精霊の華奢なボディとうまく組み合わさるかが心配でした。情報を集めて一人でぐるぐると悩むより、プロの人に相談してみたいと思い始めます。ここまで考えを進めると、今度はお店で相談してみよう!という段階に移りました。 

 

すみかで相談してみよう! 

フルチョのイメージがある程度まで固まったら、今度は天使のすみかで相談することになりました。天使のすみかなどの店舗では、フルチョイスそのものだけでなく、オーダー前の相談もすることができます。わたしが希望していたヘッドやボディは天使の里限定のものでしたが、最寄りの店舗であるドールポイントでも大変丁寧にご相談に乗っていただけました。 

 

緊張して店員さんに話しかけられなかったのですが、フルチョイスハンドブックをレジに持って行ったときに、「フルチョをお考えですか?よければ見ていかれますか?」と声をかけていただき、そのままカタログを見せていただくことになりました。 

 

なんとなくオーダーメイクであることとヘッドは決まっているから、もう来週にでも天使の里に行こうかな…と内心焦っていました。そんなときに、店員さんが仰ってくださったのが、 

「フルチョイスはじっくり時間をかけて、決めた方がいいですよ!」 

という言葉でした。 

 

カタログを見てみると、ハンドパーツ、シュピットの有無、ウィッグにまつげ、様々なオプション…と、自分で決めなければならないことがたくさんあることに気づかされました。これがドルおじで星野くんが言っていた、THE CHOICE IS YOURS…!これが無知の知…!長い長いパーツ選びの旅を経て、その後にやっとメイクの聞き取りが始まるという流れを知ることができました。本番までに決めておくべきことの多さをやっと実感できました。 

 

ドールのお迎え自体が初めてで…と相談すると、実際にSD女の子のボディの重さを体験させてもらえました。結構重い!これが命の重み…!?初めて持ったSDの感触にすごく驚きました。 

 

そんな感じで1回目のすみかでの相談が終わりました。店員さんから、「空いている時間であれば、何回でも相談しに来てもらって大丈夫です!」と仰っていただけました。ここから、明確にメイクのイメージを詰めていく作業が始まりました。 

 

メイクを考えよう! 

わたしのフルチョするドールのイメージは、「男の子の心も持ったまま成長した、大人っぽいサファイアです。なのでベースにするメイクははっきりと決まっていました。しかしながら、サファイアの子どもらしい顔立ちと101番の大人っぽい顔立ちは、骨格があまりにも異なっています。自分の個性も出したかったので、サファイアと、他の101番のメイクを組み合わせることにしました。参考にしたいモデルが決まってきたら、今度はオーダー内容を言葉や画像で表現して資料と作っていきます。 

 

わたしはイラストを描くのが趣味なので、イラストで希望のメイクを表現することに決めました。フルチョイスの資料の作り方は様々です。イラストを一つ例に挙げても、キャラクターの絵で表現したい雰囲気を伝えるか、メイクを絵に描き起こすか…様々な使い方があります。写真を複数枚集めて、コラージュを作る方もいるそうです。推しの写真やゲームのキャラクターのスクリーンショットでイメージを伝えることもできます。 

 

ボークス公式のドールの写真ならば、「こんなメイクをしてほしい!」を明確に伝えることができます。オーダーの内容は客観的に伝わりやすいほど良いので、わたしはイラストと写真を併用しました。 

メイクの参考におすすめの資料は、個人的には下記のものです。 

ボークスの過去の限定モデル 

ワンオフモデル (Instagramでたくさん見れます)

ボークスニュースのモデル 

・メイクブックのモデル 

※他社のドールや造形物の画像は参考にできないそうです。 

SNSで個人の方が投稿しているドールの写真やイラストをフルチョイスの資料に無断で使用すること、他者のオーダーの内容を無断で真似することはトラブルの原因になります。 おすすめしません。どうしても参考にしたい場合は、オーナーさんに相談して了承を得ましょう。

 

悪戦苦闘して作り上げたフルチョの資料は、最終的にはこんな構成になりました。参考にしたいモデルが複数人いる場合は、これよりも写真の比率や資料の枚数が多くても大丈夫だと思います。本当にこんな感じの資料で伝わるかが不安だったので、細かい点を確認するためにもう一度ドルポに赴きました。 

左側に写真を、右側に文章によるメイクの説明を、真ん中にメイクのイメージイラストを載せた画像。

※個人的にオーダーするときに考えていてよかった!と思ったのは、抽象的な雰囲気具体的な表現方法(メイク)の理想を固めておいたことです。具体的なメイクの指示が決まっていれば、オーダーの内容は伝わりやすくなります。抽象的な雰囲気の方向性が決まっていれば、自分では決めきれなかった部分をDA(ドールアドバイザー)さんと擦り合わせやすくなります。以下の図は簡単な例ですが、参考になれば幸いです。

「大人顔」「子供顔」「かわいい」「かっこいい」の要素で構成されたマトリクス図とメイクの例の絵が載っている画像

オーダー内容の固め方の一例

オーダー内容を固めよう 

大人っぽくてがっしりした101番のヘッドにSD13精霊ボディを合わせても大丈夫だろうか?こんな資料で伝わるだろうか?という疑問を解消すべく、ドルポで再び相談しに行きました。101番のヘッドは里限定でドルポにはないのですが、雰囲気が似ていてがっしりしたヘッドとSD13女の子のヘッドを合わせてもらいました。全然違和感がない!店員さん曰く、SDのヘッドはウィッグのサイズは共用で、子供顔のヘッドも大人顔のヘッドもそこまで頭の大きさは変わらないそうです。心配な方は、こんなふうに仮組みしてもらうのをおすすめします。(里限定ヘッドについて詳しく知りたい場合は、天使の里に行って仮組みしてもらうのが一番正確です…!里でもオーダーの事前相談はできるそうです。)それを知って、安心しました。 

 

資料についても、ザっと見てもらって、こんな感じなら大丈夫そう!と仰ってもらいました。言葉でたくさん書いたものの全てを反映してもらえるわけではないのですが、当日に言いたいことを忘れてしまいそうなときは、備忘録として書いておくとお役立ちです。わたしの場合、オーダー当日は、用意した1枚をDAさんが確認してからオーダーの聞き取りをしていただけました! 資料の作り方に自信がなければ、事前に確認しておくと安心です。

 

イラストの資料はコンビニプリントで、写真の資料は自宅のプリンターの写真用紙印刷で用意しました。繊細なドールのメイクは、コピー用紙だと印刷が荒く見えてしまうこともあったからです。コンビニプリントだと写真印刷は白飛びしてしまうこともありました。色々なプリンターを試して、一番納得のいく色味のものを使うのがおすすめです!特に、濃いメイクをしてほしい方資料もしっかり色がついているものだと意図が伝わりやすいと思います。 

 

オーダーに直接は関係ないけど、雰囲気が好きな子の写真もいくつか印刷して、1枚の資料と数枚の写真をファイルに入れて、準備完了です! 

番外編:ドールの輪を広げよう 

ドールは一人で楽しむ趣味というイメージが強かったのですが、意外と交流が活発なジャンルでもあります。ドールの話をしていたり、ドールの絵を描いたり、ドールオーナーさんをフォローしていると、ドール好きの方と縁ができることがあります。また、すみかなどの店舗では撮影会が開催されます。ドールポイントはDDが多めですが、月一回くらいの頻度で撮影会が行われ、老若男女問わず様々なドールオーナーさんが和気藹々と集っています。 

 

ドールの実物に興味があったり、オーナーさんに聞いてみたいことがあったりしたときは、SNSで交流したり、イベントに参加してみたりするのも一つの手です。ドールとの出会いが、宝物になる人との出会いにも繋がればいいなあと思います。 

フルチョやってみたレポ:その①決意編―サファイアとドルおじに導かれて―

2023年10月20日(金)、天使の里で初めてフルチョイスを行いました。わたしにとってはこれが初めてのドールのお迎え(の第一歩)でもあります。フルチョするに至るまで、様々な方の発信から学ばせていただき、勇気もいただきました。初めてのこと尽くしだったフルチョの体験を、記念として残すとともに、誰かのためになればいいな…という祈りも込めて、綴っていこうと思います! 

 

このブログでは、大きく分けて四部構成でフルチョレポを記します。構成は、ドールのお迎えを決意するまでの「決意編」、フルチョイスをするために必要な資料を作るまでの「準備編」、フルチョイス当日の様子を記した「オーダー編」、そして実際にドールをお迎えする「お迎え編」の四つを予定しています。わたしは10月20日にオーダーメイクでオーダーしたので、お迎えは1月上旬の予定です。そのため、「お迎え編」の更新はそれまでまったりとお待ちいただけましたら幸いです。 

 

 

いつからドールに興味があったか 

はっきりとしたきっかけは覚えていないのですが、一目惚れしたドールに出会ったのは5年前のことでした。Twitteで、特定の作品のキャラクターの姿かたちで生み出されたキャラクタードール(キャラド)に出会ったのが、もしかしたらドールとの初めての出会いだったかもしれません。なんとなくドールを知っている状態から、「お迎えしたい!」という状態へと移ったきっかけは、BJD CROBIZionとの出会いでした。 

dolk.jp

凛々しい中にあどけなさがある目元、優しげな微笑み、ブラウンのウルフカットにエメラルドの瞳。その画像を見たときに、「なんて理想的な子なんだろう!」と思ったのを、あの子の姿を、今でも鮮烈に覚えています。 

Zionと出会ってからは、彼をお迎えした(その頃は買うことを「お迎え」と呼ぶことさえまだ知らなかったと思います)人のブログを見たり、Twitterを見たり、DOLKのサイトを見たり…とドールへの興味が尽きませんでした。当時はまだ、自分でお迎えのためのお金を用意することができませんでした。ただただ「いつかお迎えする」と心に決めて、情報を集め続けた日々でした。 

 

彗星のように現れたサファイア 

ドールについて調べては諦め、調べては諦め…を繰り返しつつも、心のどこかでいつも小さな炎が燃えているような人生を過ごしてきました。そんなわたしが不意にネットで見つけたのが、ボークスの「SDGr サファイア」でした。 

dollfie.volks.co.jp

2021年10月末に姿を現したサファイアは、わたしにとっては一度見たら忘れられない、運命の人でした。少女漫画のキャラクターのように大きな瞳、それでいて少年のように凛々しい眉、あどけない唇、決意の中に迷いを秘めたような表情に、一瞬で虜になりました。

 

そしてサファイアについて調べるうちに、男の子の心と女の子の心を持つという彼女の来歴を知り、「中性的な子が好きなんだ」と気づかされました。 サファイアの見た目だけでなく、サファイアが背負う物語や魂が好きでした。大好きなキャッチコピーをご紹介します。

「美しく、凛々しく。自らに真摯に生きることの大切さを表現します。」

【手塚治虫】スーパードルフィー リボンの騎士 SDGr女の子 サファイア【VOLKS公式】 - YouTube

 

喉から手が出るほど欲しかったサファイアですが、当時は金額を理由に諦めます。病気が原因で働ける状態になかったからです。それでも諦めきれず、ドールへの憧れを胸に暮らしていた、そんなあるとき… 

 

 

2023年6月、サファイア再販!!! 

職場の休憩時間に、すっとんきょうな声が出そうになりました。そして急激に思考が脳裏を駆け巡ります。今、自分は働いている。お迎えするための資金を自分の力で用意できる。このタイミングで再販されたのは、運命ではないか?これは、お迎えするしかないのでは…? 

ドールの「お迎え」という言葉が、初めて自分の人生に交差しました。それが、サファイアとの二度目の出会いでした。 

 

「ドルおじ」が押してくれた背中 

サファイアと2回目の出会いを果たすまでに、自分とドールとの距離を近づけるあるきっかけがありました。それが「ドルおじ」です。さとうはるみ先生が2022年8月に投稿した1話から始まった、ドールのスターレットと矛崎真澄さんの物語が、『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』です。現在では月刊コミックバンチで連載され、web上のくらげバンチでも読める「ドルおじ」ですが、Twitterで更新が始まったときに、わたしはこの漫画と偶然出会うことになります。 

※現在の連載はこちらで読めます

https://kuragebunch.com/episode/4855956445093712892

緻密な描線で描かれる可憐なスターレットと、どこか愛嬌があって感情移入してしまうような真澄さんの物語は、わたしをドールの世界の奥深くへと誘ってくれました。ドールが自分の暮らしにいることが、こんなにも素敵なら、お迎えしてみたい!そんな気持ちになる作品です。「ドルおじ」と出会っていなければ、自分は今こうやってフルチョをしていなかったと思っています。 

 

ドールに託した祈り

サファイアとの再会と「ドルおじ」の導き。そこからは毎日のようにボークススーパードルフィーについて調べました。そもそもスーパードルフィーとは?キャストドールとは?黄変とは!?抽選って何!?調べれば調べるほど、不安なことも知っていくのに、どうしようもなく自分の傍にドールにいてほしいと思ってしまいました。 

 

ここからは、ドールをお迎えしたい動機の根っこの(とても個人的な)話になります。わたしには大切なパートナーがいるのですが、パートナーと一緒に過ごせないときには強い孤独を感じます。つらいことがあったときに、悲しみや怒りを一人で抱えきれないようなような、そんな気持ちがずっとありました。交友関係が狭く、数少ない友人とパートナーだけが話相手の自分は、誰かと話せないとき、自分の気持ちを受け止めてくれる存在がいないことに悩んでいました。他者に強く依存するようなことはしたくないけれど、「自分で自分を大切にしよう」「自分を好きになろう」みたいな言葉はどこか上滑りして聞こえました。自分のことは雑に扱ってもいい、みたいな感覚がありました。

 

2023年4月に放送された、ドキュメント72時間「いとしのドールに見つめられて」という番組では、ドールをお迎えする人の様々な声が記録されています。ある方は「男の子になりたかった」という夢をドールに託して、自然の中で凛々しく佇むドールを撮っていました。その方の幸せそうな顔を見て、「ドールに夢を託しても、いいんだ」と気づかされました。ノンバイナリーという性自認に色々あってたどり着いたわたしは、その方の言葉に強く勇気づけられました。ノンバイナリーとして自分を定義して、顔の見えないSNSの中で自己表現することができても、顔や身体そのものを理想的な形にすることはできない。自分の容姿や身体に打ちひしがれることを何回も経験しました。でもドールになら、その理想や祈りを託すことができるスーパードルフィーの精霊ボディなら、性別のない身体だって表現できる。そんな生き方をしてみてもいいんじゃないか、と思いました。

 

「人に似せて作られたドール。人が果たせない役目を務めている。」

2023年4月7日放送『ドキュメント72時間』「いとしのドールに見つめられて」


番組内で語られたこの言葉は、ドールのあり方をとても的確に表現しているように思います。 

 

別れと、フルチョイスとの出会い 

サファイアをお迎えするためにボークスのVS会員になり、近場のドールポイントに意気揚々と赴き、惨敗したわたしはオンライン抽選に全てを賭けることになりました。原作も読んだし、絵も描いたし、服まで買っちゃったし、願掛けもバッチリです。

リボンの騎士のサファイアがこちらに向かって右手を差し出している様子を描いた水彩画。

サファイアのお迎え祈願絵

一方で、心の中には有象無象の不安が渦巻いていました。「本当にこの散らかった部屋にお迎えできる!?」「こんなに人気なら、もしかしたらご縁がないのでは!?」「版権のヘッドってこれから先何かあったときに有償交換してもらえるのだろうか…!?(これがかなり大きな懸念でした)」 

※有償交換の対象について知る方法は、公式にご質問されるのが一番正確です。こちらの心配については、当ブログではなく公式の情報をもとにご判断ください。 

下取り交換サービス | Super Dollfie®公式サイト - superdollfie.net

 

そんなときに脳裏を掠めたのが「フルチョイス」でした。スーパードルフィーにはサファイアのような「限定モデル」とは別に「ワンオフモデル」があり、更には自分で様々なカスタマイズができる「フルチョイスモデル」があるとこの数か月で知りました。Twitterで見かける様々な美しいドールたち。その中でも際立って惹かれるのが「SD101番」のヘッドでした。 

SDフルチョイスモデル | ボークス公式 ドルフィー総合サイト

 

 

フルチョイスなら、何かあったときには有償交換してもらえる可能性が版権コラボの限定モデルよりも高い。長く付き合う上で安心だし、何より、世界で一人だけの子自分の手で生み出せる!(わたしはものすごく心配性なので、「何かあったとき」のことばかり考えていました。)調べるうちに、フルチョイスモデルに心が少し傾くときもありました。それでも、一目惚れしたサファイアに全力投球しなくては絶対後悔すると確信していました。 

 

そんな中迎えた当落の日。いつの間にかドールのフォロワーさんも増え、応援していただいていました。結果は… 

サファイアの抽選販売に落選したことが通知されたメールのスクリーンショット

落選! 

そのメールが来てからは、その日の仕事もなんだか現実じゃないみたいで、「こんなに自分はお迎えできると信じ切っていたのか…」と落胆しました。着せるつもりで買った鏡のセーラー服セット、どうしよう…とボンヤリとスマホを見て打ちひしがれていました。 

 

残されたのは、「ドールをお迎えしたい」という揺るぎない、行き場のない熱意だけです。その熱意がじりじりと自分を焦がし、なんだかまでチリチリと痛んでいました。ならば答えは一つ。

 

フルチョするしかない! 

 

SD101番のヘッドは、現状では(フェアなどがない限り)天使の里限定でした。サファイアに応募するために会員になっている今の自分なら、里に行ってフルチョイスすることができます。買ってしまった鏡のセーラー服セットも、SDサイズの子なら着ることができます。 

 

 

ドールがいない生活じゃなくて、ドールがいる生活がしたい!自分の夢を託した、自分だけの子を作って、その子を大切にするように自分のことも大切にできるようになりたい。素敵なお洋服を着せて、いろいろな写真を撮ってみたい。美しいドールに絵のモデルをお願いしたい。そんな思いが、今なら叶えられるかもしれない。というか、一日も待っていられない! 

 

そんな逸る思いに任せて、わたしはフルチョイスすることに決めたのでした。 

 

『残雪』

新作投稿しました!

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作品ができるまで

この作品はラフができてから完成するまでに1年ほどかかってしまいました。ラフが出来上がったのが2021年の年末でした…。トライストリウムとトライブレードの作画が面倒だったので、時間が取れるようになってやっと取り掛かれました。

こんな感じで3Dデッサン人形と対象定規で描いたラフを作って

[PROGRESS] (1 images) 目の疲労がヤバいので休憩します - kokage_M78's Poipiku | Illustration&more Box [POIPIKU]

本番の紙にトレース台で線画を描いていきます。今回は3Dデッサン人形の線をそのまま拾いすぎず、ちょっと筋肉を加えてみたのがうまくいった気がします。

[PROGRESS] (1 images) 根性です - kokage_M78's Poipiku | Illustration&more Box [POIPIKU]

今回はツバキとトライストリウムの目元を色鉛筆にして、柔らかい雰囲気や目が光っている質感を表現しようとしてみました。

色塗りによく使ったのがホルベインのピロールレッドです。これ一色で身体の赤い色がほとんどなんとかなりました!頼りすぎて逆に危ない絵の具です…。ツバキの赤は絵墨明の朱色を使っています。(トライストリウムとツバキの赤の違いに気づいた方は鋭いです!)レンブラントの絵の具もトライストリウムの赤や葉の色に使ってみたのですが、すごく発色がよかったので次回はレンブラント縛りとかしてみたいです。

分離色であるハルモニアのダスクスカイも陰や金属部分に使いました!水分量が少ないと分離があんまり見られないのですが、多めの水で溶くと赤色が分離してとっても綺麗です。金属の表現にも良さそうですね。

今回は線画をあまり筆でなぞらず、繊細な雰囲気にしてみました。星野木綿さんの『いちばんていねいな、花々の水彩レッスン』という本が花の塗り方の参考としてすごくお役立ちでした。最後に鼻筋の線を不透明水彩のホワイトで細めに修正して、イケメンなお顔立ちにできた気がします。

作品解説

今回のイラストはあまり花言葉の意味は意識しないで描いてみました。「控えめな優しさ」「誇り」などが花言葉だそうです。

冬の花の絵を描いてみたくて、雪と言えばツバキかな?という気持ちで描きました。トライストリウムも赤色が綺麗なので、いい感じに画面がまとまればいいな~と考えていました。年始を飾るイラストにするつもりだったのですが、それなら梅とかのほうがおめでたかったですね…。トライストリウムは大好きな最終フォームなので、大変でしたが挑めてよかったです。

タイトルの「残雪」は春の季語らしいのですが、明日から2月なのでセーフだろうと思って付けました。なんとなく、タイガの世界の厳しさとその中にある小さなかげがえのないあたたかさが感じられる絵になっていれば嬉しいです。

『春に愁う』

新作投稿しました!

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作品ができるまで

久しぶりの作品投稿になりました。待っていてくださった方々に感謝でいっぱいです。透明水彩でイラストを描くのも二か月ほどぶりなので、実は一回ボツにしたバージョンの塗りがあります。

(こちらがポイピクのリンクです)

poipiku.com

万年筆の秋桜というインクを消費したくてボツバージョンでは使っていたのですが、発色が良すぎて自分のイメージと絵が離れてしまいました。

そんな失敗を経て、今度は絵墨とホルベインのラベンダー、シェルピンク、ホリゾンブルーをメインに淡くグレイッシュに仕上がるように苦心してできたのが『春に愁う』です。イラストを描かない時期でもメイキングを見て勉強したりしていた甲斐があって、今までのイラストにはないグラデーションができたような気がします。

長く絵から離れていたことと多忙とが重なり、ちょっとスランプ気味だったのですが、柴崎春通先生の個展でたくさんインスピレーションと元気をいただいたので、描くことができました!柴崎先生、とても優しくて素敵な方でした…!

作品解説

『春に愁う』(はるにうれう)は、「春愁秋思」という言葉から拝借してつけたタイトルで、春に感じる悲しい気持ち…という意味だったと思います。こんなに桜が綺麗に咲き誇っているのに、その桜の美しさが自分を冷たく貫くようでとても悲しい…というような気持ちを表現しようとしました。アリトレさんのタロウへの憧憬や絶望を繊細なタッチで描いて、もの悲しい春を表現できていたらいいなと思っています。桜の花びらが涙に見えたらいいな〜という気持ちで顔に小さく描いてあります!対応する『秋に思う』な作品も作ってみたいです。

絵墨の淡がとても活躍してくれました。線画をなぞっても画面がはっきりしすぎなくてとてもいい色です。そしてなによりホルベインのシェルピンクがMVPです!かわいらしくて唯一無二の色だと思います。

トレギアさんのイラストだけで12か月を制覇できたらいいなという野望があります。これからも色々なウルトラマンやトレギアさんを描いていきたいです。

ご覧になってくださり、ありがとうございました!

連作まとめ

ウルトラマンたちと花を描いた連作を、2021年から2022年までの範囲でまとめました。七十二候という言葉とM78星雲から文字を拝借して、七十八候という名前で(仮称ですが)このシリーズを呼んでいます。

pixivにまとまった形で投稿させていただきました。

https://www.pixiv.net/artworks/104506054

以下は一つ一つの作品の細かい解説がメインとなります。

 

〇『彼岸の炎』

彼岸花とダークザギのイラストです。彼岸花は持ち帰ると火事が起きるという不吉な言い伝えや死のイメージがあるので、ダークザギに似合うと思いました。対になるノアのイラストを描く予定です。Twitterにアップする際の加工があまりうまく行っていないので、ノアを描いた際に再投稿したいと思っています。

 

〇『邂逅』

 

藤とゼロビヨンドのイラストです。藤は紫色で美しい花なので、ぴったりだと思い一緒に描きました。当初は特にタイトルを決めていなかったのですが、藤棚の下で偶然に出会うというシチュエーションから『邂逅』と題しました。

水彩紙が風邪をひいてしまい(湿気でダメになることをこう言います)、思うように塗ることができなかった作品でもあるのですが、好きなキャラクターを好きな色で描いたお気に入りのイラストです。

 

〇『Hydrangia』

紫陽花とトレギアのイラストです。紫陽花は咲く場所の土壌によって色が変わることから、変化を経験した彼に似合うと思い、選ばせていただきました。個人的に透明水彩の良さを存分に活かすことができてとてもお気に入りの作品です。

 

〇『夜鷹の見た晩夏光』

ひまわりとトレギア(アーリースタイル)のイラストです。タイトルは大好きな小説である宮沢賢治さんの「よだかの星」および高田郁さんの「晩夏光」(『ふるさと銀河線』)から頂きました。ひまわりの花言葉は「あなただけを見つめる」で、タロウの光を見つめるトレギアに似合うかなと思いました。

 

〇『朝顔

朝顔とトレギアのイラストです。柴崎春通さんのクレヨンの動画がすごく好きで、そちらを参考に描いたものです。

 

〇『棺の中の太陽』

チューリップとトレギア(アーリースタイル)のイラストです。黄色いチューリップの花言葉は、「日光」のような明るい意味もありますが、ネガティブな意味もあります。チューリップは幼稚園や小学校で咲いているイメージがあるので、幼馴染の頃の友情を表現できるかなと思い、描きました。

 

〇『マドンナリリーへの憧憬』

百合とカミーラのイラストです。下書きのときに参考にした画像がマドンナリリーではなかったので、色塗りのときに修正したためちょっと中途半端な百合になってしまったかもしれません。『家栽の人』という漫画のマドンナリリーが登場する回が大好きなので、テーマに選びました。原画は墨運堂さんのパール顔彩でキラキラしています。

 

〇『Scar』

ラナンキュラスウルトラマンベリアルのイラストです。ラナンキュラスは「華やかな魅力」などの素敵な花言葉がある花ですが、悲恋の神話も存在する花です。さびれた屋敷に残された貴人の肖像画というイメージで描きました。タイトルは『残光』でもよかったかなと悩み中です。

 

 

仮面ライダービルド28話 氷室幻徳の独白を読み解く

 今回は最近視聴している『仮面ライダービルド』の28話「天才がタンクでやってくる」における氷室幻徳の独白を分析してみました。武藤将吾さんの脚本と田崎竜太さんの監督が生み出した素晴らしい場面の片鱗をお届けできればと思います。

 

「強さ」への執念

「俺はお前を倒して、更なる強さを手に入れる。
この国を、強くするために、俺が強くなるんだ。」

責任感の強さが伺えます。それと同時に、強さがなければこの国を守れないという彼の価値観が伝わってきます。彼の「強さ」への執念は、後述するような「理想」への失望があるように思います。

 

「未熟」

「俺は全てにおいて未熟だった。
『どうして軍事力に金をかけない!』
『何度も言っているはずだ、武力じゃ何も解決しない』
『なら、東都市民に裸のまま他国の銃弾を浴びろって言うのか!』
『そうならないために話し合うんだ』
『それが通じる相手じゃないだろう!』」

この場面は戦争が起きている現在の社会情勢が重なる、本当にリアリティがある場面で、悲しいです。パンドラボックスが災厄たりえるのは、人の精神に影響を与えることで対話の選択肢を奪うからだと思います。実際に、第8話では泰山さんに向かって、「親父はスカイウォールの光を浴びなかったからそんな呑気でいられるんだ」と忠告しています。(この場面で「変わったのはお前だろ」と泰山さんに返されるのは、今思うと悲しいですね。幻徳さんの今の状態は本来の姿ではないのだと思います。)3話頃から幻徳さんは軍事力の増強について泰山さんに進言していました。

幻徳さんがここで自身を「未熟」と評するのは、彼がこの時点で泰山さんを説得できなかったことにあると思います。結果として、泰山さんは倒れ、幻徳さんが非常事態に首相を継ぐこととなりましたが、彼はこのような形で首相となることを望んでいなかったのかもしれません。本当は泰山さんを納得させたうえで、自信を持って首相となりたかったのではないでしょうか。(20話でも泰山さんに「話を聞いてくれ!」と叫んでいます。)

 

氷室幻徳の「何者にもなれない」葛藤

「俺は野心だけを頼りに生きてきた。
だが、一人じゃ何もできないクズだった。
だから俺は、
『俺が全てを決める。俺がこの国のリーダーだ!』
自尊心の高い己を
『だったら、誰がこの国のリーダーにふさわしいか決めようじゃないか』
虚栄心の強い己を
『変身』
全てかなぐり捨てて生まれ変わった。」

幻徳さんが葛城に強い執着を抱いているのは、葛城が自分には持っていない科学力、すなわち何かを生み出す力を持っていたからであると思います。それを裏返せば、幻徳さんは「一人じゃ何もできない」のです。彼は「野心だけを頼りに生きてき」た一方で、桐生戦兎や葛城のような何かを生み出す力を持たず、何者にもなれませんでした。「自尊心の高い己」と「虚栄心の強い己」の言葉は、『山月記』の「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」を想起させます。恐らく幻徳さんは「自尊心」が本当に高いのではなく、「自尊心の高い己」を演じることで、せめて自分にできる首相の役割を果たそうとしていたのではないでしょうか。

 

氷室幻徳と劉備 理想への失望

「今度こそ俺はこの国を動かせる力を自分自身の手で掴み取ってみせる。
お前の言う愛と平和など幻に過ぎない。
理想で国は作れないことを俺の強さを以って教えてやる。」

氷室幻徳の「何者にもなれない」という葛藤は、過酷な体験を経て、「自分自身の手」で力を掴み取るという確固たる信念へと生まれ変わりました。常人には耐えられないような苦しみを味わうことで、一種自信がついたとも考えられます。ローグのデザインのテーマが「ひび割れ」であるように、彼は傷つけられることで新しい自分へと変わりました。(それが彼にとって幸福なことであるか否かはわからないのですが…)

 戦兎くんや泰山さんのスタンスである、対話による「愛と平和」(ラブ&ピース)を、自身の名前である「幻」を用いて否定する脚本が巧みです。「幻徳」という名前は、「徳」というポジティブな漢字を「幻」の漢字で有耶無耶にしてしまうような不思議なニュアンスがあります。また、劉備玄徳」という名前から音を取っていると考えられます。

 『三国志演義』は、劉備を主人公として三国時代を描き出す物語であったと記憶しています。劉備は徳が高く、仲間に恵まれた君主でしたが、夢半ばで息絶え、蜀が三国を統一することはありませんでした。このような物語を踏まえて氷室幻徳を読み解くならば、「徳」や「理想」による統治を夢見るも、現実に打ちのめされ、「力」による統治でしか世を救えないと彼は考えるようになったのではないでしょうか。Fateで言う劉備オルタみたいな感じだと思います。

 

まとめ

氷室幻徳の葛城への執着は、「何者にもなれない」という劣等感の裏返しです。彼は恐らく東都を守るために堂々とした首相を演じていたに過ぎず、自己肯定感を持つには至っていなかったのだと思います。内海とブラッドスターク(エボルト)によって、彼は苦境へと追いやられますが、その悲痛な体験こそが、彼を「何者か」―仮面ライダーローグ」へと変身させました。そして彼は、「理想」ではなく「力」がこの国を救い、それを自らが実行せねばならないという信念を背負って戦兎たちの前に立ちはだかります。

 パンドラボックスの影響を受けていない彼がまだ登場していないので、ここからは推測に過ぎないのですが、氷室幻徳の元々の性格として劣等感自体は存在したのではないでしょうか。「野心だけを頼りに生きてきた」という表現は、「優しい子だった」という泰山さんの評価を踏まえると、光を浴びて以降の人生を指しているのだと思います。ただ、パンドラボックスはあくまで闘争心を引き出しただけかもしれません。その結果として、「自分の手で国を守る」という義務感と「力を手に入れたい」という変身願望が表出したということは、本来の人格に真面目さと劣等感が存在したこととほぼ同義とも言えます。このように考えると、泰山さんの言うように「優しい子」ではあったものの、エリートとして生まれ育ったからこその、自分の力では何も得られないという葛藤が以前からあったのだと思います。父である泰山さんは対話による平和を目指していましたが、息子である幻徳さんとまず対話できていなかったというのは、ある意味皮肉な構図なのかもしれませんね。

 以上が28話の感想です。氷室幻徳を好きになって良かったと心から感じられる回でした。素敵な台詞を作ってくださった武藤将吾さん、ありがとうございました…!氷室幻徳の幸せを祈って視聴していきます!