ジャムの瓶の底

イラストのことや漫画やアニメや特撮のことを書きます。自分用の備忘録です。

フルチョやってみたレポ:番外編 オーダーメイクの疑問に答えてみた!

つかさくんのお迎えから50日が経ちました。ドールの写真を撮るのが趣味の1つになり、スタジオ付きのドールカフェに足を運ぶなど、楽しく過ごしております。つかさくんのお顔を見るたびに、はてしない美しさに惚れ惚れしてしまいます。今回は、フルチョ前のオーダーメイクに関する疑問に、お迎えした後の視点から答えてみようと思います!

 

 

フルチョでメイクの濃さを指定したいときはどうすればいい?

フルチョを考えるときにまず立ちはだかるのが、メイクの濃さへの不安です。薄いメイクが好きな人にとっても、濃いメイクが好きな人にとっても、「オーダーでメイクの濃さを調節できるだろうか?」という悩みは大きいと思います。メイクの濃さはフィニッシャーさんの匙加減も関係するので、完全にコントロールすることは難しいです。それでも、せっかく理想の子をフルチョイスするので、できるだけ好きなメイクに仕上げたい…!

 

個人的に大切だと感じているのは、「メイクが薄くなるのと濃くなるのとでは、どちらを避けたいか」を決めておくことです。わたしは、メイクが濃くなって後悔することはないけれど、薄くなって後悔することはあると思っていました。そこで、オーダー時に「写真写りが良くなるように、資料より濃くなってもいいので、濃く仕上げてほしい」とDAさんにお伝えしました。「写真写りが良くなるようにしっかり濃く」という呪文は、先輩ドールオーナーの方々のブログで度々拝見した言葉です。それを聞いたDAさんが、オーダーシートには「写真映えするように資料の子より濃くメイクを」と記入してくださいました。

 

はっきりとした言葉にDAさんが変換してくださったおかげで、つかさくんはメイクが鮮やかな素敵な子になってやってきてくれました!

つかさくんの顔のアップの写真

濃いメイクに仕上げるために他に役立ったと思うのは、「資料を濃く印刷すること」「メイクが濃くなるような方向性で細部もオーダーすること」です。フルチョイスの資料で写真を使うときは、写真用紙を使って濃く印刷しました。コンビニのネットプリントは色味が薄くなりがちだったので、うまくいかないときは自宅のプリンターや写真屋さんをご利用されるのがおすすめです。また、細部のオーダーは、情報量を増やして全体を見たときに濃くなるように指定しました。まつげは長く多く、耳と顎にはチークを入れてもらうという内容に決めていきました。シェーディングはもともと彫りが深いから要らないかな?と思い、やめておきました。耳と顎のチークは血色が良くなってかわいいのでおすすめです!

 

今回ご紹介したのは濃いメイクを指定した例でしたが、薄いメイクに仕上げるときも「どこをどのように薄くしたいか」を決めておくとお役立ちだと思います。みなさんのフルチョっ子が素敵な子になりますように!

 

造形が違うモデルのメイクを乗せることってできるの?

オーダーメイクの醍醐味の一つは全体の雰囲気から自由に指定できることです。憧れの限定モデルやワンオフモデルのメイク好きなヘッドで再現することもできます!フルチョイスハンドブックにも限定モデルやオークションモデルを資料にしたメイクの例が掲載されています。実例はある。けれども、実際にどうなるかが分からないところが悩みどころです。

 

わたしはSDGrサファイアのメイクを大好きなSD101番に乗せたい!という執念に燃えていました。サファイアのように中性的なSD101番をどうしてもお迎えしたかったからです。ところが、サファイアとSD101番の造形は全く異なります。目の形と大きさ、顔の輪郭がここまで違うヘッド同士を組み合わせることは不可能かもしれないと思っていました。

 

造形が違うモデルのメイクを乗せるときには、「どこは変えてもよくて、どこは変えないでほしいか」を明確にすることが大切だと感じました。再現してほしいのはパーツの描き方なのか、メイクの色味なのか、全体の雰囲気なのか…。理想を具現化する作業はとても大変なのですが、この作業が悔いのないオーダーに繋がると思います。わたしはまるっきり造形が違うサファイアのどこを再現してほしいかを、言葉にして資料を作りました。お迎えしたつかさくんを見ていると、時々サファイアの面影が見えてますます愛しくなります。

つかさくんの写真。あどけない表情をしている。

 

オーダーに不安があるときは、仮組みで相談するのもおすすめです。憧れのメイクの子がお迎えできると楽しいですよ~!

 

資料に自作のイラストを付けても大丈夫?

フルチョの際には自作のイラストを資料にする人も少なくありません。一方で、絵を描く人の中には、「自分の絵を持って行っていいのだろうか…」と迷われる方もいらっしゃると思います。

 

フルチョで自作のイラストを資料にする狙いは、大きく分けて二つあると思います。一つが、「性格や雰囲気を伝えるため」で、もう一つが「メイクの細部を指定するため」です。主にどちらの用途でイラストを使用したいか決めておくと、当日のオーダーがスムーズになるのではないかとわたしは考えています(二つははっきりと分かれるものではなく、混ざっていることもあると思います!)。

 

「性格や雰囲気を伝えるため」にイラストを使いたいときは、絵柄をドールの造形に寄せなくても大丈夫です。当日は、イラストの子の全体的な性格や雰囲気をどうメイクに落とし込むか、をテーマに話し合う流れになると思います。ぜひ自由に描いてみてください!「メイクの細部を指定するため」にイラストを使うときは、巧拙は気にせず、言葉とイラストを駆使してメイクを表現するのが大切だと思います。わたしはサファイアのメイクをSD101番に乗せたイメージ図」を描いて資料にしました。資料のイラストと仕上がったメイクを並べてみると、言葉と絵で伝えたかった内容がうまく調整されてメイクに落とし込まれています!

左には資料のイラストが、右にはドールのつかさくん目元の写真が載っている画像

イラストを持参された方のフルチョレポを他にもご覧になると、イラストの活用例がイメージしやすいと思います。自分で描いたイラストがドールになる感動はひとしおです。迷われたときはぜひ持って行ってみてください!

 

まつげ二枚取り付けって、仕上がりはどうなるの?

わたしがオーダーしたときに地味に気になっていたのが、まつげ二枚取り付け(「まつげ二枚貼り」とも呼ばれています)の仕上がりです。というのも、まつげ二枚取り付けは2023年6月18日に受付がスタートしたサービスなので、実例はまだ多くありません。このサービスは同時にフルチョに追加された「純白のつけまつげ」と組み合わせることもできます。と言っても、公式サイトに載っているメイク例はワンオフモデルの子たちなので、フルチョイスモデルの仕上がりはやっぱり試してみないと分かりません。オーダーメイク違う種類のつけまつげを二枚選べるので、選択肢があると気になりますよね。

 

つかさくんは、目力があって好きなワンオフモデルを参考にして、茶色と黒WT-16のまつげを二枚取り付けしています。正面から見ると、まつげの密度が高いので、まつげでアイラインがしっかりと作られているような印象を受けます。まつげを重ね貼りすると虹彩が小さめのアイが違和感なく着けられる、と仰っている方もいらっしゃいました!

寝そべっているつかさくんの写真

 

横顔や斜めからのアングルでお顔を見ると、まつげがふさふさしている様子が分かりやすいです。一枚取り付けではセパレートっぽいまつげも、二枚取り付けだとふわっとした印象になります!

つかさくんを斜めから見たアングルの写真

 

まつげ二枚取り付けの際に考慮したいのは、「まつげを後から取り付けることもできること」と、「純白のつけまつげは店頭販売されていないこと」(2024年2月現在)です。天使の里のビューティーサロンではまつげの取り付けを依頼することができます。そのため、フルチョのときはまつげを1枚にして、後から欲しくなったときに追加で取り付けてもらうことが可能です。

www.superdollfie.net

注意しなければならないのは、ビューティーサロンでのまつげの取り付けはボークス製のつけまつげを持参する必要があり、2024年2月現在で店頭販売がない「純白のつけまつげ」は追加で取り付けることができないことです。つまり、2枚貼り自体は後からでも選べるのですが、「純白のつけまつげ」だけはフルチョイス時にしか現状選べません。少しでも純白のつけまつげにご興味がある方は、ぜひ試してみてください!

 

イメージとちょっと違う子が来たらどうしよう…

オーダーメイクの一番の不安は、自分でオーダー内容を全て決められるがゆえに、仕上がりが全く予想できないことです。お迎えの不安はフルチョ共通の悩みですが、オーダーメイクならではの悩みでもあると思います。わたしは悔いのないオーダーができた!と感じていたものの、やっぱりお迎えの日が近づくと不安になりました。

 

そんなときに心の支えになったのが、「お迎えするときに完璧じゃなくてもいい。アイやウィッグを変えれば印象もガラッと変わる。カスタマイズできるのがドールの強み!」という先輩ドールオーナーさんの言葉です。お迎えしてから50日経った今、改めてこの言葉を噛みしめています。

 

つかさくんのメイクはあまりにも完璧だったのですが、用意したハイドームのアイはSD101番のヘッドに入れてみると隙間が生まれてしまいました。素敵なドールと素敵なアイをうまく活かせない自分に悔しさを感じていました。それでも諦めずに、ドールイベントで購入した新しいグラスアイを嵌めてみると、つかさくんの表情がもっと活き活きとしました!

お迎えした直後の写真がこちらで

ブラウンのショートボブのつかさくんの写真。

今の写真がこちらです。

緑色のベレー帽を被り、黒いマントを着たブロンドのつかさくんの写真。虹彩がお迎え前よりも小さいグラスアイになり、目が活き活きとしている。

つかさくんはどんどん美しくなっていきます!

 

ドールの美しさを引き出す方法はたくさんあって、ドールの美しさは無限大です。フルチョレポを読んでいると、どうしても「運命の対面」をしなければいけないような気分になることもあると思います。でも、お迎えした後にウィッグやアイを変えて「本当のこの子」に出会うのもまた素敵です。好きなときにお迎えセレモニーをしてもいいように、ドールの素敵なところは自由に遊べるところです。様々なご決断があると思いますが、悩まれたときの一助になれば幸いです。

 

おわりに

今回はわたしの経験からお伝えできることしか書けませんでした。推薦メイクならではの悩みもあると思います。すごくピンポイントな話題の記事になってしまいましたが、フルチョを考えている方のお役に少しでも立ちましたら大変嬉しいです。

 

今度はSD101番や精霊ボディの良さを語ったりしてみたいです!ドールのおかげでブログを書く楽しみにも気づけました。書きたいことは尽きないので、これからも更新してまいります!先人のドールオーナーさんたちとDAさん、そしてフィニッシャーさん、ありがとうございました!

フルチョやってみたレポ:その⑤お迎え編 つかさくんをお迎えしました!

2024年1月13日、ついにフルチョイスのオーダーメイクで初めてのドールである、つかさくんをお迎えしました。その1週間後の1月20日には、天使の里でお迎えセレモニーを行いました。フルチョレポも今回でとうとう完結です!お迎え当日からセレモニーに至るまでの喜び失敗も含めて、思い出を余すところなく書き残してまいります。長い長い物語になりますが、楽しんでいただけましたら幸いです! 

 

 

運命の電話を待ち続けて 

オーダーしてから70日目に差し掛かると、期待不安緊張で毎日ハラハラドキドキしていました。そろそろ連絡が来てもおかしくない時期です。#フルチョお迎え報告のツイートを見ては指折り数えて電話を待ちました。電話がかかってくるのではないかと思うと気が気ではなく、腹痛動悸に悩まされ、歯茎に大きな口内炎ができるという憔悴っぷりでした。 

 

2024年の年明けには大きな地震が起こり、希望が見えなくなるような日々でした。そんな中でも、フォロワーさんが元気を失くしたわたしを誘ってくださり、一緒にドールポイント大阪と神戸の天使のすみかを訪れることになりました。フォロワーさんのおうちのSD101番の子はとても美しくて、その子を見ていると「うちの子もきっと素敵な子になる」と励まされるようでした。モザイク大観覧車から眺めた、夕日に照らされる神戸のまばゆい海は大切な思い出になりました。 

 

神戸のモザイク観覧者から見た、夕暮れの空と海の写真

もしかしたら完成のご連絡を見逃しているかもしれない、とその頃は不安に思っていました。そこで、オーダー80日目に差し掛かるころに、天使の里に電話でお尋ねしました。天使の里の店員さんは大変丁寧に対応してくださって、電話をかけて留守の場合はメールでもご連絡することをご提案してくださいました。まだ完成はしていないそうで、うちの子はお寝坊さんなのではないかと妄想して日々を過ごしました。 

 

切実な思いで待ち続けたある日、1月9日の火曜日にとうとう天使の里から電話がかかってきました!退勤後にスマホの画面で着信とメールが来ていたことを知りました。

天使の里からフルチョイスのドールが完成したことを知らせるメールの文面のスクリーンショット

そのときは肩の力がふっと抜けたようでした。天使の里は基本的には水・木曜日はお休みです。お迎えセレモニーには1日前までに事前予約が必要なので、金曜日に電話をかけ、土曜日にお迎えとお迎えセレモニーを行う予定でした。土曜日の13日はドルパアフターが開催され、着せたかった「プリンスドレスセット」が発売される日です!この子はこのお洋服がどうしても着たかったのだと嬉しくなりました。 

 

ところが、電話で予約を取ろうとすると、ドルパアフターの日は天使の里ではお迎えセレモニーを行えないことが分かりました(この情報は今後は変わるかもしれないので注意です!)。お迎え(ドールの受け取り)とお迎えセレモニーは別の日に行うことができます。最短の20日にお迎えセレモニーは予約したものの、13日にお迎えのためだけに京都に行くかどうか、すごく悩みました。そんなときフォロワーさんからいただいた「さらに1週間伸びたらマジで寝込んじゃいません!?」というお言葉で心に火が付き、2週連続で天使の里行きを決行することになりました。 

 

お迎え当日の朝 

13日の朝は早い時間に起きてしまい、ドールポイント大阪に並びに行くか逡巡しました。冬の朝は冷え込んでいるので、体調を崩してはよくないと思い、行列に並ぶのは諦めました。それでも逸る心は抑えきれません。イベントがある日のお迎えなので、天使の里にはお昼以降に着くことを店員さんにおすすめしていただきました。朝が終わるのを待つのはあまりにもじれったくて、結局ドールポイント大阪には通常の開店時間に向かいました。 

 

店内に並ぶたくさんの方々はドールのお迎えを待っていました。ドレスだけの購入だったので、別の階のレジでスムーズにお会計していただき、あっという間に着せたかったお洋服が買えてしまいました。余った時間で歯科の予約を入れるくらいには元気が出てきました。それでも胃は痛かったので、Soup Stock Tokyoでお粥を食べてお昼ご飯にしました。 

Soup Stock Tokyoのお粥の写真

余談:お迎えの持ち物リスト

ここで余談ですが、フルチョのお迎えの際の持ち物リストを載せておきます! 

オーダーシート 

・(前払いでない場合は)お金 

ポイントカード 

・着けたいアイ、ウィッグと着せたいドレス

・瞳パテやピタッとリングまたはピタッとウィッグ、ゴム引き

 (里にも売っていますが、あると便利)

・カメラ 

・(天使の里の場合は)身分証明書 

・ドールの顔を照らせる小さなライト(持って行かなくて後悔しました!) 

 

お昼過ぎにパートナーと合流し、電車に乗って嵯峨嵐山に向かいました。パートナーが新大阪で買ったおにぎりがおいしそうだったのが思い出深かったです。雨がちらつく曇天と過ぎ去る景色を見つめていました。 

 

京都駅で嵯峨野線に乗り込み、窓を眺めていると、乗客から歓声が上がりました。どうしたのだろうと車窓に目を向けると、鮮やかな虹が山裾から空に向かって架かっていました。あまりにも綺麗で、誰もが虹を見ていました。嵯峨嵐山駅の窓から見た虹は二重になっていました。これは吉兆に違いない、とパートナーが顔を綻ばせます。わたしも、「きっと素敵な子が来るだろう」と確信しました。 

嵯峨嵐山駅から見た虹の写真。二つの虹がかかっている。

運命のとき 

小雨がちらつく嵯峨嵐山を駆け抜けて、天使の里にたどり着きました。受付の方へお迎えしに来たと告げると、静かな館内を突き抜けて、真っ先にフルチョイスカウンターへ向かいます。待っていたのは、フルチョイスを担当してくださったDAさんと、見習いのスタッフさんでした。慌ててやってきたので、わたしの眼鏡に雨の水滴が付いていて恥ずかしかったのを覚えています。 

 

どこからか白くて大きな箱が運ばれてきます。いよいよドールとの対面の瞬間です。出生証明書の写真よりも前にドールの顔を見る、という流れは、フルチョレポで何度も見た展開で、なんだかワクワクしました。 

 

フェイスカバー越しで顔が見えたとき、真っ先に「美しい子だ」と思いました。サファイアをベースにオーダーしたけれど、どこか夢天使の桔梗のような気品が感じられました。最初の対面は意外と距離が遠く、説明を受けながら自分の手でドールに触れていきました。手を洗いに行ってもいいと仰っていただいたのですが、あまりにも緊張して、ウェットティッシュで拭いたような、それすらも覚えていないような気がします(手は洗った方がいいです!)。ドールの肌はコーティング加工したこともあって、しっとりとしていました。 

 

フェイスカバーを外すと、わたしの理想を遥かに凌ぐメイクが目に飛び込んできました。優しさと凛々しさを湛えた、長いまつげと美しい陰影に彩られた目元、はにかんだ笑み、そして血色が感じられるにはこだわりのほくろ!あたたかいのに鳥肌が立つほど美しい、天使のような子でした。洗練された精霊ボディと美しい顔立ちのこの子は、性別というものを感じさせない姿をしていました。女の子にも男の子にも見える、中性的なドールをお迎えすることがだったので、胸がいっぱいになりました。 

 

自作のイラストとドールの写真を横に並べた画像。目元のメイクがオーダーした資料以上に美しく再現されている。

実はオーダーのときに、フルチョの資料に自分で描いたイラストを使うかどうか悩んでいました。ドールに詳しくない自分が描いた絵に自信がなかったからです。ところが、実際にやってきた子を見てみると、イラストと参考にしたドールの特徴のいいとこ取りなメイクでした!サファイアのメイクをSD101番に乗せる、という難しいオーダーでしたが、こんなにも理想的なお顔が生まれるなんて…!ドクター・ストレンジはサノスと戦う際に1400万605通りの未来から苦渋の決断を下しましたが、わたしは1400万605通りの未来を見ても、このメイクを喜んで選ぶと思いました。 

 

メイクを確認した後は、付属品を確認し、初めてのお迎えということでDAさんたちに着せ替えを手取り足取り教えて頂きました。まずゴム引きで頭を外すのですが、非力すぎて全然外せませんでした…。練り消しのような瞳パテをよく練って、コッペパンの形にして、土台を作り、アイを乗せ、微調整したら上も固定します。不器用すぎて何がなんだか分からない状態でしたが、これから自分がずっと付き合っていく子なのだと思い、踏ん張ってアイを着けました。グラスアイが入ると一気に生命感が溢れて驚きました。お気に入りのディーラーさんのグラスアイをやっと着けられて感動しました。 

 

一番難しく、事前に予習すればよかったと思ったのがウィッグです(後ほどおすすめの着用方法をご紹介します!)。用意したロングウィッグのネットをうまく伸ばせず、格闘の末に諦め、フルチョでついてきたマニッシュボブのウィッグにしました。前髪部分を抑えながら後頭部にネットを伸ばしていくのがなかなか難しく、メイクを傷つけるのではないかと手が震えました。わたしのように不器用さに自信がある方ショートヘアのウィッグがおすすめかもしれません…。ウィッグは試着して選ぶのが一番です! 

 

次はいよいよ服の着せ替えです。天使の里限定パーツのいわゆる精霊ハンドは少し大ぶりなので、外してから服を着せる必要があります。球体関節をぐっと抑えて手を外すのも大変恐ろしかったのですが、意外とすんなりと外せました。見習いのスタッフさんがボークスニュースを持ってきてくださって、きちんと着替えができました。MELODY.Cさんのロングブーツは、緊張と疲労で震える手ではうまく履かせてあげられず…(帰宅したらちゃんと履けました!)。理想通りにはいきませんでしたが、予備の靴を履いてもらって、お着換え完了です! 

 

DAさんたちから受付で籠を頂くよう勧められ、見習いのスタッフさんと1階へ上がりました。「101番が好きなんですけど、この子みたいに中性的な子はなかなか見ないですね…!」と話しかけていただいて、まさに目指していた理想像だったので嬉しくなりました。箱を預けて籠を受け取り、閉館1時間前を切った館内で大慌てで撮影タイムです。 

 

茶髪のショートボブに緑色の目をした中性的なドールが、白い王子様のような服装を着て、籠の横に座っている写真

お迎え直後に撮影した写真

顔を照らすライトもなく、パートナーにキャンドゥの簡易レフ版でなんとか顔を照らしてもらう、しどろもどろの撮影タイムでしたが、やっぱりこの子は美しかったです。パートナーが呟いた、「ぞっとするような美人」という言葉が似合う子でした。サファイアの華やかさ、桔梗の気品、マクシミリアンの優しさ…わたしが憧れたあらゆるドールたちの面影が感じられるような顔立ちです。『ドルおじ』で真澄さんが自分のドールを「天使」と喩えた気持ちが、そしてボークスが度々「天使」という言葉を使う意味が、すごくよく分かりました。この子は天使だ…。

 

やがて蛍の光が流れ、大急ぎで箱を持って地下に向かい、大切にしまってもらって天使の里を後にしました。うっかりスタンドを受け取るのを忘れていたので、みなさんもオプション忘れにはご注意を! 

 

この子の名前は「つかさ」です。もともとはサファイアにつけようとしていた名前でした。リボンの騎士の主人公であるサファイアは、女性であるがゆえに国王の後を継げず、王子として育てられます。二つの心の間で揺れるサファイアは、危険に晒され、運命に翻弄されます。もしもサファイアがありのままの姿で国を治めることが、司ることができたら…という思いを込めて、「つかさ」という名を考えました。FGOの推し、始皇帝の名である「政」も「つかさ」と読むことができるので、この名前が気に入っています。自分の運命を自分の手で握って、強く気高く生きる子になってほしい。そんな思いを込めました。 

 

ウィッグ探しの旅 

お迎えした翌日、わたしはまたしてもドールポイント大阪を訪れました。ウィッグを着けられないことに悩むわたしを見かねて、フォロワーさんが仕事の合間に助けに来てくださいました。ちなみにその前の夜は、スペースでフォロワーさんたちに助けてもらいながらブーツと格闘していました。なんとか着けることはできたけど、中のピタッとリングに髪の毛が巻き込まれ、やっぱり難しい…。フォロワーさんがつかさくんを見て、「この子は眉が見える髪型のほうがいいかもしれない」と気づかれ、ウィッグを買ったお店に着け方を聞いてみるよう背中を押してくださいました。 

 

フォロワーさんと別れて写真を撮り、片付けのためにウィッグを外そうとしたとき、が当たって耳のメイクが少し擦れてしまいました。そのときはひどく落ち込んで、これは誰かに着け方を教わらないといけないと痛感しました。とぼとぼとした足取りで、Dolly Lab.様へと向かいました…。 

 

ドールポイント大阪から程近いDolly Lab.様は、ドール愛に溢れた店員さんの素敵なお店です。買ったウィッグがうまく着けられなくて…と相談すると、大変丁寧に着け方を教えていただきました。ウィッグを着けるときにドールのヘッドをどう押さえればいいか分からなかったのですが、指の腹で顎を支え、中指と薬指の間で首を挟むというのは目から鱗でした。顔に触れるときは、を当てないように指の腹を使うのがコツだそうです。以下の画像に個人的な着け方をまとめました!覚え間違えもあると思うので、参考にされる際は自己責任でお願いいたします。お役に立ちましたら幸いです! 

 

ウィッグの着け方を図解した画像

ウィッグの着け方を文章でまとめたメモのスクリーンショット

店員さんにウィッグを着けていただいた長髪のつかさくんはとても綺麗でした。思っていたよりもミステリアスな印象です。ふと、フォロワーさんの「眉が見える方が似合いそう」という言葉を思い出して、「短髪も気になっているんですよね~」と呟くと、店員さんがあるウィッグを持ってきてくださいました。それが、KamR様Pompadourというウィッグでした! 

 

ポンパドールのウィッグを着用したつかさくんの写真

Pompadour(ポンパドール)は貴婦人の髪型として有名です。店員さん曰く、最初は個性的なこのウィッグをどう使えばいいのだろう?と作り手の皆さんで考えていたところ、前髪を崩すと使いやすいヘアスタイルにもなると気づかれたそうです。被せてみると、凛々しい眉がはっきりと表れて、気品のある顔立ちになりました。人工モヘアの細かな髪質がドールをますますリアルに見せてくれます。被せやすいし、前髪のアレンジも自在です!何より、この髪型を被せたときに「この姿こそがつかさくんだ」と感じました。 

 

アンティーク風の背景とつかさくんの写真

Dolly Lab.様の店内には素敵な撮影ブース大きなライトがあります。ここで写真を撮るととっても綺麗です!思い出を写真に収めて、ウィッグを買って、お店を出ました。店員さんが帰り際に、「この趣味は理解されないこともあるけれど、ドールは心の支えになってくれますよね!」と話されて、新しいドール仲間のわたしを力強く励ましてくださいました。様々な人との素敵な出会いをつかさくんが連れてきてくれたんだと思いました。 

 

いざお迎えセレモニーに 

ウィッグを自分で着けることにも慣れ、いよいよお迎えセレモニーの日がやってきました。ドールを鞄に入れて嵯峨嵐山まで行くのはちょっとした冒険でした。一人でお迎えセレモニーを行うのは結構寂しい…と先人の方にアドバイスしていただき、一人のフォロワーさんをお誘いしました。 

 

到着して早々、つかさくんの顎の裏を見るとコーティングが剥げていることに気づいてしまいました。どうやら、プリンスドレスセットのジャボのビジューが、ズレたヘッドカバーの隙間から顎を擦っていたようです。DAさんにもこのビジューには気を付けるように伺っていたのに、つかさくんを守れなかったことが悲しかったです。フォロワーさんが、ヘッドカバーはきつくテープで留めること、顎の裏にも緩衝材をしっかりと入れ込むことをアドバイスしてくださいました。 着けるのが苦手な方は、ディーラーさんのヘッドカバーを購入するのもかなりアリだと思います。

 

帰宅しても、自分はつかさくんにふさわしくないドールオーナーだと落ち込んでいたのですが、Discordでお話していた方の、「つかさくんと一緒にドールとの付き合い方を模索していけるのは今のあなただけ」という言葉にはっとしました。最初から完璧にドールと接することができるのは理想だけれども、失敗も成功もドールと分かち合って成長していくドールオーナーでもいいんじゃないかと思いました。 

 

始まって早々悲しいこともありましたが、ドールを連れて訪れる天使の里はすごく新鮮でした。ドールオーナーさんが各々のドールを出して思い思いに過ごす空間が不思議でした。四季華の会の日なので、ラナンキュラスが机に飾られていて、喫茶室ではフルーツティーが飲めました。ノンカフェインなのがありがたい! 

 

薔薇のケーキとフルーツティーの写真

フォロワーさんと語らっていると、あっという間にセレモニーの時間です。30分前に受付の方にお声掛けをして、準備が始まります。スタッフさんが手順を説明してくださり、本番は合図をするので大丈夫です!と仰っていました。準備が早めに終わったので、降臨台で撮影タイムです。降臨台はお迎えセレモニーのときにしかドールを乗せられない貴重な場所です!すごく照明が綺麗で、手持ちライトを忘れても大丈夫でした。カメラはお忘れなく! 

 降臨台の上に佇んでいるつかさくんの写真。白いベールがカーテンのように垂れ下がっている。

お迎えセレモニーが始まる前には館内放送が流れ、音楽が止まり、天使の里が静まり返ります。写真撮影はOKとのことで、留守のパートナー用にセレモニーの写真を撮っていただくようフォロワーさんにお願いしていたのですが、もしかしてシャッター音が目立つかも!?とアワアワしたくらいには静かでした。静寂で緊張が高まった中、暗い館内でセレモニーが始まります。ゆらめく蝋燭の炎が幻想的です。DAさんが読み上げる言葉からはドールに込められた祈りが感じられました。つかさくんに導かれて出会った様々な人や、つかさくんから貰った勇気喜びを思い出しました。 

 つかさくんが胸に手を当てている写真

ベールをめくってつかさくんを両手で抱き上げたとき、ライトに照らされたつかさくんのはあたたかく輝いていました。この子の中に眠っていたが目を覚ましたような、そんな気分でした。館内の皆さんもあたたかく拍手してくださいました。セレモニーの後に、フルチョを担当したDAさんが、つかさくんに「慣れましたか?」と笑顔で話しかけてくださったのが嬉しかったです。 

 

セレモニーの後も、心行くまで降臨台の撮影を楽しみました。その後は館内をフォロワーさんのドールと一緒に巡りながら、写真をあちこちで撮りました。ドールは頭の方が重いので、を持つときは頭の方の底を持ってあげたほうが安心です。あと、館内は雨天や夕方だと暗めなので、100均などの小さな手持ちライトを持っていくのがおすすめです! 

 

ヴァイオリンを持ったつかさくんの写真

せっかく来たので何かお土産に…と地下1階のお店を見ていると、四季華の会限定ドライフラワーの花束だけでなく、「銀貨の誓い」のディスプレイアイテムも売っていました!SD13向けのMサイズはなかったものの、仮面ライダーキバが好きなので、Lサイズのヴァイオリンを購入しました。店員さんと仮面ライダートークで盛り上がりました!ミニチュアはワクワクするし、ドールに物語を与えてくれてとっても面白いです。(悲しい余談ですが、ヴァイオリンケースの黒の塗料がつかさくんの白いズボンに付いてしまったので、黒っぽい小道具は大切なお洋服の近くで使う際には注意です…。洗ったらだいぶ落ちました!) 

 

フォロワーさんと楽しんだ天使の里はあっという間に時間が過ぎました。わたしの夢から生まれて、様々な方にお祝いされて生まれてきたつかさくんを幸せにするぞ!と改めて胸に誓いました。そして、つかさくんと一緒に色々な景色を見ようと思いました。 

 

つかさくんをお迎えして 

お迎えが決まってから変わったことはたくさんあります。まず、ドール用のお洋服や本体の保管のために、ものすごい勢いで断捨離をして部屋を掃除しました。汚い部屋に置いておくのは申し訳ない気がしたからです。お洋服は、棚の細長いスペースに突っ張り棒を入れて、ボークスさんで買ったときのハンガーのままかけています。増えてきたらまた考えます…。 

 

そして、自分自身のことも気に掛けるようになりました。つかさくんのために服を選んだり、掃除したりするうちに、「もう一人の自分」のつかさくんを大切にするなら、自分のことももうちょっと大切にしてもいいんじゃないか、と思うようになりました。同時に、つかさくんと並ぶのにふさわしいオーナーになりたいと思いました。そんなわけで、悩みだった体調の問題を解決するために動いたり、行きたかったパーソナルカラー診断に行ったりと、後回しにしていたことを実行しました。部屋も心も整理できて、結構スッキリできました。 

 

実際にお迎えしてからは、帰宅して箱を開けてつかさくんの顔を見るのが毎日の楽しみになりました。帰宅後の楽しみができたこと、そして自分で稼いだお金で買いたいものがあることは、仕事の働き甲斐にも繋がりました。また、ドールをきっかけにTwitterで繋がった方とお話しすることが楽しく、色々な場面で助けていただき、周囲の人に感謝を感じる場面が増えました。ブログを書いたり絵を描いたりと、創作意欲も復活しました。ドールをきっかけに、日々に少しずつ彩が加わったように感じます。 

 

意外だったのは、いざお迎えしてみると意外と自分は頻繁に着せ替えをしないタイプだったことです。お迎えして1か月間、プリンスドレスセットから変えられずにいました。自分はたくさんお洋服を買うよりも、ずっと着せたくなるようなこだわりの一着を奮発して買う方が向いていると気づきました。憧れのディーラーさんのお洋服を買えるように貯金しようと思います! 

 

おわりに 

初めてのフルチョイスとお迎えは、完璧なつかさくんとの出会いでもあり、不完全な失敗ばかりの自分を受け容れる旅でもありました。このフルチョレポを読んでいる方の中には、もしかしたらフルチョやお迎えに不安を抱えている方や、失敗して自信をなくしている方もいらっしゃるかもしれません。そんな方々に、「完璧なドールオーナーではなくても、良きドールオーナーであろうと頑張っているならば、きっと大丈夫」と伝わりましたら幸いです。目の前にいるドールの美しさに、ついつい「こんな自分がドールオーナーでいいのかな?」と思うこともあります。けれども、自分が望んでこの子の手を取ったのだから、失敗しても、やっぱり一緒にいたいと痛感します。皆さんの挑戦や不安、時には失敗が、いつの日か素敵な思い出になるよう心よりお祈りしております。 

 

新しいグラスアイを着けたつかさくんの写真

つかさくんはグラスアイも変わり、色々なアクセサリーも着けて、どんどん美しくなっていきます。この子の美しさは留まることを知りません。つかさくんがいる日々は、この世にはまだまだ面白いことがたくさんあるという発見の連続です。フルチョレポは今回の記事で完結しますが、これから続いていく長い物語を引き続き綴っていきたいと思います。 SD101番精霊ボディの魅力はどんどん発信していきます!

 

つかさくんが黒い外套を羽織り、濃い緑色の上質な帽子を被っている写真

わたしとドールを出会わせてくれたボークスの皆様、沼への一歩を踏み出す勇気をくださった『ドルおじ』およびさとうはるみ先生、応援してくださった先輩ドールオーナーの方々、支えてくれたパートナー、そしてここまで読んでくださった読者の皆様に心より感謝を申し上げます。ありがとうございました!これからも末永く、この子を大切にします! 

白いタキシードを着て白百合のカチューシャを着けたつかさくんが微笑んで右手を前に出しているイラスト

 

2023年に出会った最高の映画たち

今年は55本くらい映画を観ました。映画好きのパートナーと出会ってから、映画を観る機会が増え、観た後の自分の気持ちに向き合うことも増えました。今年出会った映画は、これから先の人生でもきっと何回も思い出して勇気を貰うだろうと感じる、素晴らしい作品が多かったです。今回は、そんな素敵な作品をご紹介します! 

 

 

シュレック』―「幸せになってはならない」という呪いを解く物語 

年最も意外な出会いだったのは、そして最も出会いに感謝しているのは、この映画です。パートナーに勧められて見るまで、わたしは『シュレック』をハリセンボンのネタでしか知りませんでした。ただのコメディなんじゃないかなあ…と観る前までは思っていました。今思うと、ルッキズムの文脈で『シュレック』が使われるのって、ものすごく作品のテーマに反しているんですよね…。 

 

まず、関西弁で喋るひねくれものシュレックと陽気な洋楽、おとぎ話(というかディズニー!)を皮肉るブラックジョーク、テンポの良さにワクワクしました。2001年公開の作品ですが、今観ても最初から引き込まれるくらい構成がうまい!そうこうしているうちに、陽気な喋るロバのドンキーと出会います。おせっかいなドンキーと共に、シュレックは自分の静かな暮らしを守るため、冒険に出ます。最初は冷たくドンキーをあしらうシュレックですが、二人は友情を結んでいきます。 

 

この物語の奥行きをぐっと深くしているもう一人の人物は、フィオナ姫です。悪役であるファークアード卿に狙われている彼女は、実は容姿に秘密と深いコンプレックスを抱えています。最初は醜いシュレックに戸惑う彼女ですが、彼の心のうちを知り、旅をする中で、彼に惹かれ、囚われていた自分自身を解き放つようになります。終盤にシュレックとフィオナがすれ違うシーンでは、もう二人のことが大好きになっているので、胸が張り裂けそうになります。一人で椅子に座り、もう片方の空席の椅子を見つめる二人の姿と言ったら…! 

 

ドンキーとの友情と、フィオナ恋愛。二つの愛情に向き合いながら、シュレックは自分が見ないふりをしてきた孤独に気がつきます。二人との出会いによって成長したシュレックが、どうフィオナ姫を助けるかは必見です! 

 

醜さを理由に人から恐れられてきたシュレックは、実は自分自身でも「自分みたいな人は幸せになったらダメだ」と自分に呪いをかけていました。コンプレックスという「呪い」は、シュレックシリーズがこれから続く三作の中でも絶えず描き続けてきたテーマです。一作目のハッピーエンドの後も、シュレックの人生は続きます。その中で何度も、「醜い自分は愛されない」「幸せになれない」という葛藤と彼は向き合います。フィオナも、悪役たちも、コンプレックスに苦しみ、時に人を呪い、自分を呪います。悩み、立ち上がっていく彼らの姿に、わたしは数えきれないほどの勇気をもらいました。 

 

容姿が醜いけど心が綺麗だからシュレックとフィオナは愛し合ったのではありません。自分が自分らしくいられる相手だから、二人は一緒に生きていきます。『シュレック』は、これまでに描かれてきた物語では救えない人に手を伸ばしている作品だと思います。今年の、そして生涯のベスト映画です。超オススメです! 

 

シュレック フォーエバー』―わたしを愛してくれたあなたを 何度でも愛する

シュレック』では友情と恋愛への怯えが、『シュレック2』では結婚への戸惑いが、『シュレック3』では出産への不安が描かれてきました。シュレックのライフステージを追っていく四作目のシュレック フォーエバー』では、育児ノイローゼになったシュレックが主人公です。一人の静かな暮らしに戻りたいと願ったシュレックは騙されてしまい、自分が生まれてこない世界に囚われてしまいます。その呪いを解けるのは、運命の人のキスだけ。 

 

ところが、運命の人であるフィオナは、私たちが知るフィオナではありませんでした。シュレックに助けられなかったフィオナは、親と世界を憎み、おとぎ話を恨み、愛を疑います。誰にも愛されなかった彼女は、シュレックとキスしますが、二人の呪いは解けません。これが真実の愛ではないからです。二人の呪いを解くことはできるのでしょうか…? 

 

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二作目と三作目では親と和解したフィオナですが、彼女の両親の行いは残酷であり、あと少しでも運命が違えば断絶していた、ということにわたしは気づかされました。強く冷徹なフィオナは、「王子様に救われなかったお姫様」です。孤独に生き抜いてきたのが、今作の彼女のありようです。彼女の部屋に刻まれたおびただしい量の何かを数えた跡、夜を怯える姿は、トラウマを如実に描いていて胸が痛いです。 

 

それは同時に、シュレックがフィオナの心の呪いを長きにわたって解き続けてきたことを意味しています。そして、シュレックがフィオナの呪いを解いたように、フィオナもシュレックの呪いを解いてきましたシュレックはifの世界のフィオナと出会うことで、彼女の愛に救われてきたことに気づき、何度でも、どんな彼女とも恋に落ちるのだと語ります。ドンキーとフィオナに手を引かれて孤独な世界から踏み出した彼が、今度はフィオナの手を取るなんて…!ドラゴンの歌のシーンは思わず涙が出てきました。 

 

フィオナは、「美しくない女性」という、おとぎ話のプリンセスとはかけ離れた存在でした。でもそんな彼女だから、やたら体術が強くて、歌で鳥を死なせてしまって、シュレックと髭を剃っている彼女だから、わたしはすごく好きでした(美しい世界を描き続けてきた3Dアニメで、ムダ毛の生えた女性キャラクターが出てくることの意味深さは言い表せません!)。美しくなくても、幸せになって何が悪いんだ、という作品の精神を体現するキャラクターです。そんな彼女が今作では、「誰にも愛されず一人で生きてきた人」―言うなれば虐待経験者―として、幸せを掴み取ってくれたことに、すごく救われました。被虐待児のキャラクターって大体悪役だし、死にがちなんですよ!生きて幸せになれる、と物語ってくれることがなんて心強いか! 

 

一作目から今作まで、シュレックたちを見守ってきた人なら、きっと大好きになる、一生の思い出になる作品です。ぜひ観てほしいです!これも今年の…というか生涯のベスト映画! 

 

『スワロウ』―響き合う悲しみの音は、暗がりの中でもあなたを導く 

Twitterでたびたび見かけて気になっていた作品がこちら。「フェミニズム」なのに「スリラー」ってどういうこと!?と思っていたのですが、まさしくフェミニズムスリラー」な作品であり、それでいて時にフェミニズムが取りこぼしてしまう人をも包摂する、ものすごい作品でした。 

 

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ハイスペックな夫と裕福な暮らし。絵に描いたかのような理想的な新婚生活を送る女性ハンターは、妊娠をきっかけに、異物を飲み込みたいという衝動に駆られるようになります。まるで今まで眠っていた歪みが目覚めたかのように、崩壊する日常。心身が蝕まれるなかで、ハンターは様々な人に傷つけられ、あるいは助けられ、一つの大きな決断をします―。 

 

精神的に追い詰められる人間の姿を如実に描いた、という点ではスリラーなのですが、冴えた色彩画面構成、淡々と紡がれる物語はとても美しく、抵抗感なく没頭できる不思議な映画です。いわゆる「鬱くしい」という言葉が似合うような作品で、それでいて最後まで見れば清々しい気持ちにもなれる作品でもあります。主人公のハンターの常に怯えたような瞳は、どこにも居場所がないと感じている人そのもので…演技がすごい!アプリゲームに没頭したり、スナックを食べたりする彼女の素のズボラっぽいところはすごく親近感が湧いて愛しいです。 

 

『スワロウ』はフェミニズムの文脈にある作品ですが、実は作中で女性同士の連帯はほぼ存在しません。むしろ、戦争経験者の男性や加害者の男性の「痛み」「歪み」に触れ、対話し、怒ることでハンターは解放されていきます。男性と女性を分断せずフェミニズムを描くという試みに、ノンバイナリーのわたしはものすごく救われました。個人的に一番好きなのは、ハンターの苦しみを軽視していた看護師のルエイが、共に暮らす中で彼女の痛みを知るシーンです。戦争によって心に傷を負ったルエイは、恐怖と戦うハンターを見て、彼女にとってはこの家こそが「戦場」であると知ります。ハンターが女性として経験してきた苦しみをルエイは知らないように、ルエイが戦争で経験した苦しみをハンターは知りません。それでも、属性も経験も違う二人「痛み」を通して心を通じ合わせた。この連帯が今作を今作たらしめているものだと思います。 

 

『スワロウ』のエンドロールでは女性トイレの情景が画面に映され続けます。この風景を入れることで、ハンターというとしての女性がもがき、解放される物語に普遍性が与えられます。様々な背景を持つ女性たちが今日も生きていて、行き交っている。彼女たちが抱える痛みは各々が簡単に計り知ることはできない。でも、彼女たちは一人でも生きていける強さを持っている。まっすぐなフェミニズムのメッセージが伝わってくる、すさまじい演出です。 

 

精神疾患を扱う映画としても、ものすごくよかったです。ハンターには傷ついた理由がある。ハンターは自分の思いをどうにかして伝えようとしている。それなのに、彼女は「異常」だと指をさされ、排除される。本当にハンターは「異常」なのか?「異常」なのは、むしろ張り詰めた糸のように緊張し切った、この家なのではないか?そんなふうに考えさせるところがすごくいいと思いました。 

 

異物を飲み込み、吐き出すという身体の摂理から導き出されたラストでは、構成の美しさに震えるとともに、思わず涙が零れてしまいました。これから先の人生で何回も思い出し、勇気を貰える作品です。傑作! 

 

ワンダーウーマン1984』―ポストトゥルースの世界で、人間という希望を諦めない 

パートナーがDCオタクで、布教の一環で触れたのがこちらの作品でした。1作目のワンダーウーマンの1作目は、シンプルでアツい展開と主人公の(ウルトラマンプリキュアの両方の性質を併せ持つ、的な!)かっこよさが魅力でした。そこから展開する2作目の今作がものっっっすごい傑作で!!!度肝を抜かれました!!! 

 

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舞台は1984年のアメリカ。スミソニアン博物館で働きながらもワンダーウーマンとして戦うダイアナは、ある日、同僚のバーバラと奇妙な石に出会います。その石は願いを叶える石だったのです!亡くなった愛する人ティーが復活し、幸せに暮らすダイアナ。ところがある実業家マックス・ロードが石を手にし、あることを願うと、世界は少しずつ滅びへと向かっていきます―。 

 

メディアを通して他者を欲望する社会、煽られる分断、「あの人になりたい」という承認欲求変身願望「何者にもなれない」という絶望、ポストトゥルース…という極めて現代的なテーマを描きながらも、ワンダーウーマン1984は決して絶望せず、人間讃歌を諦めない。ヒーロー作品でありながらも、暴力ではない力で未来を切り開いた今作は、ヒーロー作品というジャンルをより高い次元へと昇華させたと思います。ヒーロー作品って、「素晴らしいヒーローが救うに値する素晴らしい世界と人」を描けるかどうかが肝だとわたしは思っているのですが、今作はそれがずば抜けてうまい。人間の醜さが嫌になるほど描かれるのに、それをはるかに超えて人間を信じたいし、自分も信じられるような人として生きたいと思わされます。 

 

一作目では強くてかっこいいヒーローとして描かれたダイアナは、今作ではよりいっそう内面豊かに、彼女の弱さまでもが描かれます。ヒーローとして一人で生き続けてきたダイアナの悲哀が吐露される場面とか、胸がギュってなります。おかしいと思いながらも恋人と共に生きることを選ぶ彼女の葛藤が切ないです。そんな彼女を奮い立たせるスティーブも、辛い思いをしながらも立ち上がるダイアナも、めちゃくちゃかっこいい!泣いちゃう!もっと好きになってしまう! 

 

人間を描くのがものすごくうまいので、悪役を描くのも、ものすごくうまいんですよね。マックス・ロードはトランプ大統領を戯画化した存在として読み取れるように描かれています。マクスウェルの悪魔を想起させる彼は欲望を煽る永久機関として世界を蝕んでいきます。では、マックスがアメリカの象徴だとか、分断を煽った諸悪の根源だとか、そういった象徴的なものでしかないかと言うと、それは違います。終盤でフラッシュバックのように差し込まれる彼の回想は、彼がこの社会で傷つき、愛に飢えていた一人の人間に過ぎないことをわたしたちに想像させます。彼が本当に大切なものに気づく場面は、『青い鳥』のようで、その頃にはすっかりマックスに感情移入していました。尺の都合で割愛してしまうのですが、バーバラも女性として生きてきた痛みゆえに歪んでしまったキャラクターで、一人ひとりの内面がすごく多層的なんですよね…。 

 

メタフィクションのような表現にも挑み、わたしたちの生きる世界に人間のあり方を問いかけてくる今作。あなたがもしこの世界に対して希望を感じられなくなったときに、この映画は一条の光を投げかけてくれるように思います。アメコミ映画の傑作です。パティ・ジェンキンスの他の映画ももっと見たい!オススメです。 

 

『Pearl パール』―共に生きるには残酷で、悪と呼ぶにはあまりにも愛くるしい― 

今年一番驚いた出会いだったのはこちらの作品です。基本的に映画は映画館かサブスクでパートナーと一緒に見るのですが、こちらはどうしても公開終了が近かったので一人で鑑賞しました。スプラッタホラーも普段見ないどころか大の苦手なのですが、パールのキュートな笑顔がどうしても気になって…!結果的に、観てよかったと強く感じました。こんなに心の繊細な部分を貫かれるとは思っていませんでした! 

 

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さびれた農場で、戦場に赴いた夫を待ちながら厳格な母と病気の父と暮らす、一人の女性、パール。彼女は映画に出会い、鮮やかなスクリーンに憧れ、舞台に上がることを夢見ます。抑圧された彼女の欲望は、やがて惨劇を巻き起こす―。 

 

「映画史上、もっとも無垢なシリアルキラー誕生。」というキャッチコピー、真っ赤な背景に真っ赤なドレスと血を纏って笑うパール!ポスターのデザインが非常にオシャレなのがとてもいい。映像もレトロな色味とデザインで構成されていて、なんだか素敵なんですよね。だからこそ、おぞましさがビビッドな色調で際立つ!飛び散る血!湧く蛆虫!魂の叫び!しっかりスプラッタ映画なので、グロテスクなものが苦手な人にはおすすめできないです。痛そうな描写やジャンプスケアはなく、暴力にはもはや爽快感があります。なので、意外と見やすいかも…?とわたしは感じました。ミア・ゴスがとにかくキュートで、彼女を追いかけ続けていたら、気がつくと映画の世界に没入しています。 

 

この物語は、愛されなかったパールの壮絶な孤独が根底にあります。スクリーンの中でなら、特別な人になって愛される。そう信じる彼女は、求められるような美貌才能もなく、夢の世界から転落します。夢のために全てを投げうった彼女に残ったのは、絶望と狂気だけ。そして、彼女が本当に欲しかったのは、賞賛ではなくでした。幼い頃から彼女の中には人と違う何かがあり、それを恐れた母によって彼女は家に閉じ込められ続けます。パールは夢見がちで、愚かな人です。大人の女性というより少女という言葉が似合うような人物です。幼い頃から暴力性を隠し持っているような子です。でも、そんな「異常」な彼女にも、他人が自分を恐れるときの視線には人一倍敏感でした。この、「コミュニケーションが苦手だし、自分のことを客観視できないけど、自分を嫌っている人の気持ちに気づかないほど愚かではない」というあり方が、コミュ障の自分にすっごく突き刺さるんですよね…!パールの癖として、他人に言われた言葉をその人に全くそのまま返す、という言動があるのですが、あれも彼女なりに必死に「普通」に擬態して仲良くなろうとしている姿なんだと思います…。 

 

『スワロウ』と重なる感想なのですが、「異常」と蔑まれてきた人たちが「普通」に憧れて、でも「普通」になれない姿にどうしようもなく感情移入してしまうんですよね。最後にパールが自分の気持ちをものすごい長回しで語り続ける場面があります。あの語りに、パールが生きた人生の悲哀がぐっと凝縮されています。ミア・ゴスが絞り出した迫真の心の声に、思わず泣けてきてしまいました。キュートなモンスターだったパールが、その場面で「『異常』だと呼ばれようと、傷つく心を持つ一人の人間」として浮かび上がってきます。道徳的に良くないことも色々やっているんですけど、どうしても他人事に思えなくなってくる。「トリッシュはオレなんだッ!」という気持ちになってしまう。それがこの映画を特別なものにしています。 

 

パールという一人の役者の舞台が上がります。鮮烈な赤を身に纏う彼女の姿が、あなたにはどう見えますか?怪物?それとも人間?その答えを、ぜひ観て、考えてみてほしい傑作です。(続編の『マキシーン』も楽しみ!) 

 

ゾンビーズ』シリーズ―いつか、これが普通になる 

ポップなミュージカルとかわいらしいロマンスを通して、「差別」という問題にまっすぐ向き合う、ものすごく気骨のある作品です。ディズニープラスでしか見れないことがもったいないくらい素晴らしい!とにかくこの名曲をまず聴いてほしい…。 

 

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人間の女子高生アディソンゾンビの男子高校生ゼッドは、シーブルックの高校で出会い、恋に落ちます。ゾンビの入学を認めて間もないこの町では、二人の恋を阻む壁がいくつも現れます。二人はこの町の常識を一つひとつ打ち破っていきます。恋も青春も、二人は叶えることができるのでしょうか…!? 

 

ゾンビと聞くと怖い!と思う方もいるかもしれませんが、子どもでも楽しく見れる、優しくてポップな作品です。それでいて、「差別」「偏見」を乗り越えることの難しさを、三作品を通して丁寧に描いているのが今作の魅力です。一作目ではゾンビが、二作目では狼人間が、三作目では宇宙人がこの町にやってきます。少しずつ様変わりしていくこの町の姿と、アディソンとゼッドの恋模様には、ワクワクさせられます。歌もものすごく良くて、一人ひとりのキャラクターがチャーミングで、「差別」をドストレートに描いているのに説教臭くないのが驚異的なバランス!ポリティカル・コレクトネスを作品にポジティブに取り入れて、包摂的であたたかなカオスを作り上げている、楽しい作品です。 

 

主人公のアディソンは白髪という秘密を抱えています。その秘密はやがて彼女のルーツにまつわる物語へと繋がっていきます。彼女は自分が普通の人間とはどこか違うと思い、違う種族の中に自分のルーツを見出そうとしますが、何度もその思いをくじかれます。普通の人とは違う自分を感じているけれど、その違いを悟られないようにしている。マイノリティと心の近さを感じているけれど、その中に自分は属せない。この立ち位置の葛藤が、個人的にはすごくノンバイナリーのメタファーのようで、感情移入して胸が苦しくなりました。 

 

マイノリティから「あなたは私たちの仲間ではない」と伝えられる場面はすごくつらいです。でも、『ゾンビーズ3』で彼女が本当の居場所を知り、そこへ旅立っていくとき、わたしは強烈な寂しさを感じました。この人はもう、自分たちの傍にいてくれないんだ…と気づくとき、アディソンが本当の自分を見つけられたことはすごく嬉しいのに、突然距離が離れたかのように感じる。マイノリティの友人にカミングアウトされたときのマジョリティの気持ちってこんな感じなのかな…と思ったとき、この作品を通してマイノリティの気持ちもマジョリティの気持ちも経験したのだと感じて、すごく新鮮な気持ちになりました。 

 

ゾンビーズ』にはバッキーというめちゃくちゃ差別的でナルシストなのに「憎めない」ヤツが出てきます。どんどん包摂的になっていく町とは裏腹に、バッキーはずっと異種族を差別し続けます。バッキーという問題児がいることによって作品の多様さが増している一方で、『ゾンビーズ3』では最後に、彼にある出来事が降りかかります。その出来事によって、「多様性とは決して人を傷つける差別を許容するものではない」という作品の理念がしっかりと伝わります。ものすごくコミカルな場面なんですけど、この場面を見てはっと目が覚めました。ポップな作品ですが、今わたしたちが生きている社会に対して、強くメッセージを届けようとしている作品でもあります。 

 

あなたとわたしが愛し合って生きることは、いつかきっと「普通」になるはず。そしてその「普通」は、わたしたちが諦めず、生きて、声を届けることで、叶えられるはず。アディソンとゼッドたちの鮮やかな青春をどうか見届けてみてください!名作! 

 

『映画すみっコぐらし ツギハギ工場のひみつのコ』―モノに溢れる世界の中で、大切な一つを愛する人へ」 

こちらは他の記事で一本感想を書いているので、そちらに託します!改めてすみっコぐらしが好きになりました。すみっコぐらしの留まることなき進化には驚くばかりです…。子ども向けと侮ることなかれ!な名作です。 

kokage-libra.hatenablog.com

 

『窓ぎわのトットちゃん』 ―子どもが見た戦争と、命の輝き

今年の映画納めはこちらの作品でした。最初は予告を見て感動系の映画なのかな~と思っていたのですが、Twitterの反響とこちらの映像を見て、これは行かなければ!と映画館へ走りました。 

 

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黒柳徹子さんのエッセイを原作とした映画ですが、この映画は野心的な映像表現に溢れています!特徴的なキャラクターデザインは生命力をキャラクターに吹き込んでいます。顔の描き方がとてもよくて、子どもが泣いたときの顔がくしゃっとなるところもリアルに、でもかわいらしく描いていて…!とても愛しい!背景もポスターカラーで描かれていてとても美麗です。そして、トットちゃんの夢の世界を描く場面では、がらっと作風が変わり、絵本のようなタッチで画面が満たされます。いわさきちひろさんの水彩画のような絵が動く場面では、この絵が動くなんて…!と感動しました。 

 

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わたしが観に行った劇場では子どもも多かったのですが、戦前の生活様式トットちゃんのキャラクターに惹かれ、楽しそうに観ていました。中盤から戦争の影がトットちゃんたちの生活に忍び寄るのですが、子どもたちは静かに、食い入るように見ていました。ショッキングな描写はない一方で、「食べ物が食べられなくなる」「楽しく暮らしていたら怒られる」という形でしっかりと戦争の恐ろしさを伝えていて、子どもが観れる映画としてすごく絶妙なバランスでした。 

 

この映画では、戦場で戦う兵士の姿は描かれません。描かれるのは、裕福な暮らしをしていて周囲の子とは違ったところを持つ子ども、トットちゃんの暮らしです。それでも、戦争の痛ましさが観客にもしっかりと伝わります。それは、トットちゃんが出会ったトモエ学園の人々と泰明ちゃんを通して、命の重みが伝えられているからです。「普通」の学校には通えなかった子どもたちが通う学校、トモエ学園。小児麻痺を患いながらも生きる泰明ちゃん。彼らとの出会いでトットちゃんの笑顔が花開くからこそ、彼らの居場所と笑顔を奪う戦争のおぞましさがぞっとするほど伝わってきます。 

 

一人の命の尊さを、儚さと強さを知るからこそ、戦争は「起きてはいけないこと」だと分かります。トットちゃんが終盤で町を駆け抜けるシーンでは、戦争に送り出される人たちの後に、戦争によってあらゆるものを失った人々が次々と映し出されます。ある出来事を経て、人の命の重みを知ったトットちゃんの目には、もう町は前と同じようには見えません。襲い掛かる戦争のおぞましさ。この場面を見たときに、鳥肌が立ち、この映画を観に来てよかったと感じました。 

 

この映画では終戦までは描かれません。でも、トットちゃんは何が正しくて何が間違っているかを充分に知っています。そして、苦しい中でも人を笑顔にできることをトットちゃんは知っています。だから、トットちゃんは大丈夫。疎開先に向かう電車でこの映画を締めくくる構成が、最後に映し出される情景の美しさが、今も心に焼き付いています。 

 

子どもはわがままなところもあるし、もしかしたら周囲と違うところがあるかもしれない。けれども、彼らが一生懸命生きて、感じ取ったことの全てが、これからの人生を形作っていく。だからこそ、この世界は平和であってほしい。まばゆい子供の世界と、強い祈りをぜひこの映画で感じてほしいです!名作! 

 

パール、映画すみっコぐらし、窓ぎわのトットちゃんのパンフレットの写真。

今年映画館で観た作品のパンフレット

そんなわけで、紅白を見ながらこのブログを書き上げました。今年も色々映画を観て、感動することもあれば嫌な思いをすることもありました(映画への恨みのお焚き上げは来年へ回ってしまいました…)。けれども、映画との出会いが、一緒に映画を観たパートナーや友人との時間が、語り合いわたしの人生の糧になっていると感じます。来年もたくさん映画を観たいです! 

フルチョやってみたレポ:その④お迎え待ち編

フルチョイスのオーダーからもう65日以上が経ちました。お迎え待ちの日々は長いようであっという間です。フルチョっ子に似合いそうなものを探したり、ドールオーナーさんとお話したりして過ごしています。今回は、お迎え待ちの間に買ったものをご紹介しつつ、待っている間の心の動きを振り返ってまいります! 

 

 

ソワソワ期 

まず、スマホカウントアップアプリを入れました。わたしはOshibanaというアプリを使っています。フルチョっ子のイラストをホーム画面に表示できて嬉しい!スマホを開いては、オーダーから何日経ったかを眺めていました。 

 

イラスト共に「活動開始から17日」と書いてあるウィジェットの画面

Oshibanaで作成したカウントアップのウィジェット

オーダー直後はものすごく手持無沙汰です!逸る気持ちと、何もすることがない現実の板挟みになって妙にソワソワします。私は一週間のうちにブログを三本書きました。溢れるエネルギーを向けられる何かがあると、ソワソワ期を切り抜けられる気がします! 

 

実はオーダー前に既にボークスでお洋服を三着買っていたのですが、やっとこの時期に靴と靴下も買いました。「鏡のセーラー服セット(ノワール)」「ラッフルヨークブラウスセット」は、ギムナジウムの美少年みたいで大好きです。「Eternal Embrace(白)」は、ホラー映画の妖しい少女のように退廃的で素敵!スカートタイプのお洋服は買わない予定だったのですが、ハーネスがかっこよくて買っちゃいました。靴は便利そうな茶色いおでこ靴です。 

 

ドール用の洋服が3着と靴下、靴が写っている写真

ボークスで購入したアウトフィット

オーダー前にもう一つ買っていたものがあります。それはondine様グラスアイです!ドールをお迎えしたら絶対に緑色のアイを着けてもらいたい!と思っていたので、実はサファイアの落選直後に勢いのまま購入しました。黄色と青のバランスがわたしにとって理想的なアイ!澄んでいるのに深みがある色が美しいです。生命力を感じる!フルチョっ子に着けられる日が楽しみです。

緑色のグラスアイの写真

ondine様のグラスアイ

 

ブログを書いた後は、Canvaプロフィール帳を作ったりしていました。本当に意欲だけが有り余っていたんだと思います…。 

 

 

ブログやツイートをご覧になった方との繋がりは、とても心強かったです。お迎えが楽しみ!という気持ちを分かち合える人が、新しいフォロワーさんにも昔からのフォロワーさんにもいてくれて、嬉しかったです。次第に、不安が楽しみへと変わっていきました。 

 

迷走期 

ソワソワ期を抜けると、今度は迷走期に入ります。ディーラーさんのお洋服を眺めていると、全部欲しくなってしまいます。しかしながら、「そもそもこのドールにはどんなふうになってほしいんだろう?」と立ち止まって考え始めると、なんだか不安になってきます。このお洋服はすごくかわいい。でも、あの子にはかっこよくなってほしい。これって、ドールの可能性を自分で狭めているんだろうか…!?「なりたい自分」をドールに託しただけに、自分の気持ちをドールに問われているような気がしました。 

 

ディーラーさんのお洋服で、一つすごく悩んだものがありました。かわいらしいパステルカラーのショートパンツのお洋服です。結局、悩みに悩んでいたら在庫がなくなってしまい、そのときは落ち込みました…。このときに、ボークス「スプリングマジックボーイ」を買いました。貴族のお坊ちゃまみたいで、これは外さないはず!と思ったからです。 このときに、「わたしのドールには『かわいい』より『かっこいい』になってほしいんだな」と気づきました。

 

紫のコートにベージュのズボンのドール用の服の写真

スプリングマジックボーイ

その一週間後には、小道具と一緒にMR.S.Lab.様のウィッグも買いました。一度お店を訪れたときに、「イメージと現実は違うこともあるので、試着がおすすめですよ!」と言ってもらったのですが、どうしても美しい髪色が忘れられませんでした…!グレージュにアッシュピンクが繊細に混ざっていて、形も美しく、ドールにつけてあげるのが楽しみです。瞳パテピタッとリングがあれば、もう当日に困らないはず!王冠は、フォロワーさんが見つけられたセリアのアクセサリーです。 

 

ウィッグとピタッとリング、瞳パテ、王冠の写真

このウィッグを買ってから、フルチョっ子のイメージが少しずつ変わっていきました。オーダー時に選んだマニッシュボブのときは、「自分の美しさに気づいていない美少年」のイメージでした。ところが、新しく買ったロングヘアを見ていると、「揺るぎない自信と信念を持っている美少年」のイメージが浮かんできます。ボークスニュースの102号に載っているプリンスドレスセットは、王子様のようなかっこいいうちの子のイメージを膨らませてくれました。 

アッシュグレーのロングヘアに白い王子のような恰好をした人物のイラスト

フルチョしたドールのイメージイラスト

 

dollfie.ec.volks.co.jp

フォロワーさんが、お迎え待ちの時期を「赤ちゃんを迎える前の親のような気持ち」と表現されていたのが、まさにぴったりな迷走期でした。悩みすぎて七転八倒していたのですが、おかげでしっかりとドールに向き合えた気がします。 

 

ワクワク期 

ドールオーナーさんのスペースにお邪魔するのが楽しみになってきたこの頃。東京旅行のときには、天使の窓を見に行ったりしていました。天使の里と違ってワンオフが写真撮影OKなのが新鮮! 

 

4人のドールが展示されている写真

天使の窓のワンオフモデルとコーディネートモデル

プリンスドレスセットに合わせるためのMELODY.C様ロングブーツも買いました。SD13(女の子・精霊)が着るにはズボンの丈が余るかな…?と悩んでいたところ、「ドールは座ると球体関節が出てきて、ちょっと足が伸びる」「ロングブーツがあれば誤魔化せる!」と教えてくださったフォロワーさん、ありがとうございました~!!! 

 

白い厚底のドール用のロングブーツの写真

MELODY.C様のロングブーツ

12月はアイドールドルパが開催され、ディーラーさんの素敵なお洋服がたくさん発表されました。ディーラーさんのアカウントを片っ端からリストに入れて、お迎えしたらこのディーラーさんの作品を買うんだ!とワクワクしていました。フルチョっ子のイメージにぴったりな、王子様のようなお洋服もたくさん見つかりました。注文できるのが来年なので、楽しみです! 

 

余談なのですが、SD13精霊ボディの子に男装をしてほしいとなると、思っていたより選択肢が少ないことに気づきました。ショートパンツならSDGrB用の丈でもなんとかなるかな…とは思うのですが、やっぱりトップスやロングパンツのサイズがなかなか合わなさそうです。SD13女の子やSD13精霊のサイズでボーイッシュorマニッシュなお洋服を作っているディーラーさんがいらっしゃれば、ぜひ教えてください!(SD13精霊と男装のお話は、いつか一本の記事にしてみたいです。) 

 

ドールオーナーさんとお話しする機会がこの頃にはぐっと増えました。楽しくドル活される方々からたくさん元気をいただきました! 

 

ドキドキ期 

オーダーから55日ほど経つと、ドールがまだ自分の傍にいないことが妙に寂しくなってきます。最初に想像していたものよりは、お迎え待ちの期間は短かったような気もしています。しかしながら、まさかここでもう一回不安がやってくるとは…! 

 

「フルチョ」「フルチョイス」という言葉でTwitterを検索し続ける毎日。フルチョ関係でネガティブなレポや感想を見ると、ドキ!と心臓に悪い刺激が走りました…。なぜかメイクの出来に関してはほとんど不安を感じていなかったのですが、近づいてくると怖くなってきたりもしました。でも、うちの子は絶対にかっこかわいい!とドールオーナー自身が信じないでどうするんだ!という思いで踏ん張っています。脳内ではずっと、「こんなにも素敵なメイクを仕上げてくださってありがとうございます!最高です!」とアンケートに答えるイメトレばかりしていました。(フルチョ後のアンケートは、最近はやっていない?という話も聞いたのですが、実際はどうなのでしょうか…?) 

 

いよいよお迎えの日が近づいてまいりました。雑貨屋さんでドール用の椅子を買ったり、sereNade様のネックレスを購入したりしました。

ドールサイズの木と金属でできた椅子

雑貨屋さんで購入した椅子

ペールブルーのガラスのドール用のネックレス

sereNade様のネックレス

このブログを書いている間にdropparts様の素敵な花冠も買いました。アンティークな雰囲気がロマンティック!

 

カレンダーを見ては、お迎え予定日を考えてハラハラドキドキする毎日です。来年を元気に迎えて、愛しのドールに出会えるよう、今年も駆け抜けていきます! 

 

『ウィッシュ』感想:マグニフィコ王と空白のページ

ディズニー映画の新作、『ウィッシュ』を観てまいりました。絶対好き!と思っていたマグニフィコ王のいろんな姿を目いっぱい楽しんだ一方で、観終わった後のモヤモヤとした気持ちがどうしても拭えず、言葉にしてみようと思い立ちました。この記事では、『ウィッシュ』の良かった点モヤモヤした点も書きます。ポジティブな感想だけを見たい方はご遠慮ください。マグニフィコ王推しの視点から自由に書いた文章なので、一人でも誰かに思いが届きましたら、幸いです。

 

 

『ウィッシュ』の魅力

『ウィッシュ』の魅力と言えば、まず!予告の時点でアーシャの歌の美しさに感動していたのですが、本作はミュージカル調の作劇で、とにかくたくさん歌が出てきます。そしてみんな歌がめっちゃうまい!マグニフィコ王の複雑なキャラクターは、福山雅治さんの豊かな表現力で生き生きと表現されています。映画館を出てから、公式のYouTubeApple Musicで思わず聴き直したくらい、素敵な歌です。

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もう一つの特徴は、絵本のようなアナログのテクスチャの世界観。絵本から始まる今作は、そのような背景美術によって没入感を深めています。まるで絵本の絵が動いているような美しさが印象的です。

 

わたしが『ウィッシュ』で一番魅力的だと思ったのは、マグニフィコ王というキャラクターです。髭がよく似合うハンサムな顔立ちにセクシーな声、そして感情豊かな姿!ヴィランのかっこよさを存分に放ちながらも、冒頭で語られる彼の物語は、どこか彼にもの悲しさも与えています。それでいて歌えばチャーミングで、七変化する彼の表情からは目が離せません(公式のYouTubeをじっと見ると、本当に表情が全部かわいい!)。歴代のディズニーの魅力的な表現が存分に詰め込まれたキャラクターです。わたしは、後述するような彼の少年っぽさと、それでいて「グレートマザー」的な信念(私があなたたちを傷つくことから守ってあげよう、みたいな…)を持っているところがとても大好きです。

 

語られなかったマグニフィコ王の物語

マグニフィコ王が魅力的であるがゆえに、『ウィッシュ』を観終わった後に、胸の中に何かがくすぶるような思いがしました。なぜ、マグニフィコ王の思いは語られずに、茶化されて終わってしまったのだろう?両親と夢を悲劇によって失い、平和に満ちたロサスを作り上げたマグニフィコ王。子どもが描いた夢のように美しくて儚いロサスの国。『ノートルダムの鐘』のカジモドのように人形で民を表現し、弄ぶ彼の姿には、箱庭で遊ぶ少年のような幼さが見られます(城の中でおおはしゃぎするシーンは『アナと雪の女王』のアナっぽいですよね)。「恩知らず」「無礼者」と民を罵る彼は、自分で築いたユートピアに苦しめられているかのようです。「無礼者たちへ」に表れているのは、埋まらない自分の心の穴を民からの見返りで埋めようとする、マグニフィコ王の必死な姿です。メサイアコンプレックスに囚われて破滅する彼には、癒えない心の傷があったのだろうか?ちぎられたタペストリと、そこに描かれた彼の表情が表すものとは…?

 

マグニフィコ王の来歴と心情には、語られなかった余白があります。まるで絵本のページに落丁があるかのような、不自然なまでの空白。よく言えば妄想の余地を残している、悪く言えば、あまりにも観客に委ねすぎている。先ほど語った考察も、描かれなかった以上は想像に過ぎません。こんなにもマグニフィコ王は魅力的なのに、なぜか彼を描き切れないまま物語は終わります。今度は、物語全体の構造に目を向けていきます。

 

「信じ続けてさえいればいつか必ず夢は叶う」

ディズニーの物語は、『シンデレラ』に代表されるように、「信じ続けてさえいればいつか必ず夢は叶う」というメッセージを届けてきました。このメッセージは、時に「怠惰」として受け取られてしまいます。夢を持っていれば、いつか誰かがなんとかしてくれるはず。「いつか王子様が」という言葉が批判されてきたように、ディズニーのメッセージは問われ続けてきました。

 

でも、ディズニーの作品が本当に伝えたいのは、絶え間ない努力と忍耐と挑戦こそが夢を叶える、というメッセージなのだと思います。ディズニーが紡ぐ物語とキャラクターたちが愛されてきたのは、そこに揺るぎない信念があったからです。「信じ続けてさえいればいつか必ず夢は叶う」とは、「怠惰」ではなく、むしろ「勤勉」を表しているのではないでしょうか。何もせず待っていたら夢が叶うのではない。持てる力を出し切って、信じた先に、夢が叶う。それが、ディズニーの紡いできた物語だと思います。

 

『ウィッシュ』の世界は、誰でも夢を叶えてもらえるというユートピア、ロサスが舞台です。マグニフィコ王は18歳になった民から夢を預かり、理想郷を脅かさない夢だけを選別し、叶えます。待ち続けた祖父の夢が叶わないと知ったアーシャは、立ち上がり、夢を民のもとに返そうとします。

 

アーシャの怒りは、「夢が叶うかどうかを決める権利はマグニフィコ王にはない」という主張から発されています。この論理には正当性があります。王に叶えてもらえることを信じて預けた夢が、実際には叶えられない可能性もあることを民は知らされていないからです。

 

スターに怯えたマグニフィコ王は禁断の書に手を出し、ついには夢を破壊する悪と化してしまいます。この物語で悪として描かれるのはマグニフィコ王です。ただ、物語を追うにつれてある疑問が起こります。この物語が否定したかったのは、何だったのでしょうか?

 

夢は誰でもない私のもの

ロサスの病巣は、果たして本当にマグニフィコ王ただ一人だったのでしょうか。わたしは、彼に夢を叶えてもらえると信じ切っていたロサスの民こそが物語の核ではないかと思っています。

 

夢を追いかけることの痛み、挫折や悲しみから守られ、時には夢を叶えてさえもらっていたロサスの民。マグニフィコ王はもともと、決して自らの利益のためではなく、民の幸せを願って夢を叶え続けていました。マグニフィコ王が「恩知らず」「無礼者」と怒っていたのは、ロサスの平和は彼一人の献身によって成り立っていたからです。自分達の夢が叶わないと知るやいなや、夢を返せと訴えるロサスの民は、もし誰の夢でも叶える真のユートピアにいたら、同じように立ち上がっていたのでしょうか?

 

アーシャたちが伝えたかったのは、本当は「夢を叶えてもらえないなら返してほしい」ではないはずです。「私の夢は私の一部であり、私が責任を持って抱くべきものだ」というメッセージこそが、物語で語ろうとしたことだったとわたしは解釈しました。夢を胸に宿しているから一人ひとりが「スター」なのであり、夢は自分の一部だからなくしたら悲しいのです。

 

そして、そのメッセージを伝えたいならば、アーシャたちロサスの民は、夢を預けていた自分の無責任さ、もっと言えば「怠惰」に向き合わなければなりません。マグニフィコ王に伝えるべきだったのは、「奪った夢を返せ」ではなく、「今まで夢を叶えてくれてありがとう。でも、もう私たちは自分で夢を追いかけたい」という感謝と反省なのかもしれません。夢は誰でもない私のもの。つらい思いをしたとしても、自分自身で夢を追う痛みを引き受けなければならないのです。

 

夢は素晴らしいだけのもの?

この物語を観て、「マグニフィコ王がかわいそう」と思うことは何も間違っていないと思います。マグニフィコ王がなんだか愛嬌があるように感じられるのは、彼一人が「現実を生きるやるせなさ」を知っているからです。信念に燃える輝かしいアーシャの姿とは裏腹に、マグニフィコ王にはくたびれた社会人のような疲れが浮かんでいます。鏡に映る自分に褒めてもらう姿は、彼のナルシズムをユーモアたっぷりに描く一方で、どこか観客の共感を誘います。自分しか褒めてくれる人がいない。自分がやってることは完璧じゃない気がする。でも、こうやって生きていくしかない。そんな人間臭さがマグニフィコ王には宿っています。その姿は、ディズニーが伝えようとしてきた「勤勉」でさえあるように思います。

 

『ウィッシュ』では夢の正しさが疑われません。アーシャは、マグニフィコ王の真相に気づいた後は、特に大きな変化を経験しません。主人公は反論されることがないまま、ヒーローとして戦い、勝利します。この物語にプロパガンダのような怖さを感じるならば、それはアーシャの主張だけが一方的に展開されているからだと思います。まるでメッセージを伝える道具かのように、キャラクターの個性が薄められているように感じました。この物語に足りなかったのは、対話だったのかもしれません。アーシャたちの思いももっと聞いてみたかったです。

 

『ウィッシュ』を観終わったパートナーが呟いた、「もしロサスの民が作った飛行機が爆弾を積んだら、ロサスはどうなるんだろう」という言葉は、核心をついているように感じました。マグニフィコ王が全てを管理して守ってきたロサスは、アーシャたちによって秩序から自由と混沌の世界へと羽ばたきました。叶えた夢の思わぬ結果も、叶わない夢の苦しみも、ロサスの民は背負わなければなりません。マグニフィコ王が奪っていなくても、皆の夢が全て叶う世界ではありません。果たして彼らは夢が持つ痛みを受け入れて行くことができるのか。マグニフィコ王がいなくなった「めでたしめでたし」の後の世界こそ、描かねばならなかったようにさえ思います。(ハッピーエンドの後も続く人生の痛みは、ドリームワークスのシュレックが描き続けたテーマでもあります。)

 

観客の中にも、夢に様々な思いを持つ人がいます。夢を追いかけている人もいれば、様々な決断の果てに夢を諦めた人もいます。でも、一つの夢を諦めたからといって、その人の人生には絶望しかないわけじゃない。その多様性を『ウィッシュ』は描けなかった。アーシャたちに具体的な夢を語らせることも、夢を追う痛みを描くことも、叶った先にあるものを見つめることも、しなかった。夢をテーマにしながらも、夢を画一的にしか描けなかったところが、今作に一つの影を落としていると思いました。

 

空白のページに思いを馳せて

夢を諦める苦しみを味わうことのないロサス。一人の王の献身によって成り立ち続けた幻の理想郷。傷ついた青年が築いた、少年が描く箱庭の国。美しくも儚いその国の風景は、無性にもの悲しさを掻き立てます。

 

そもそも、「信じ続けてさえいればいつか必ず夢は叶う」は、ディズニー自身がプリンセスと魔法のキスで自らに問うたテーマでした。本当に大切なものを自分自身に問いかけて、夢を胸に抱き、たゆまぬ努力を続ける。そうすれば、いつか必ず夢は叶う。星に恋をしたレイは、不可能と思われていた彼の夢を最期に叶えます。アーシャが目指す星にエヴァンジェリーンが重なって、序盤の歌だけでも涙腺が緩みました。『ウィッシュ』はやっぱり、連綿と続くディズニーの歴史の中にある作品だと思います。

 

誰も傷つかないユートピアを夢見たマグニフィコ王は、全くの悪だったのでしょうか。夢を壊すのも奪うのも悪いことだった。では、彼の夢は?本当に悪だったのだろうか?冷酷非道と断じるにはあまりにも人間的で、哀しいと語るにはあまりにも物語の余白がありすぎる。面白おかしく描かれた彼の末路は、宙ぶらりんになって、胸にくすぶって残り続けます。

 

ディズニー史上最恐のヴィラン、という触れ込みでしたが、(ちょうど公開前に金曜ロードショーで放送された)ノートルダムの鐘』フロローが、やっぱり一番恐いと私は思いました。そんなフロローでも、しっかり彼自身の罪悪感良心の呵責が歌で描かれています。マグニフィコ王の怒り以外の感情をもっと描いても、全然良かったんじゃないかと思います。(さらに欲を言えば、画面が抑制的なトーンだったので、『プリンセスと魔法のキス』くらい自由で派手なアニメーションも見てみたかったです)

 

民を人形のように扱っていた彼は、どうしてアーシャの父のことを事細かに覚えていたのでしょう。アーシャの父は何者だったのでしょうか。マグニフィコ王と昔、何かがあったのでしょうか。でもそれは分かりません。語られないからです。

 

『ウィッシュ2』が公開されて、マグニフィコ王の秘密が明かされてくれないかな、と思ってしまいます。ディズニープラスで突然ドラマ『マグニフィコ』が公開されないとも限りませんし…。

 

自分にとっては手放しに賞賛できる物語ではなかったけれど、この胸に空いた穴は、やっぱり『ウィッシュ』の持つパワーによるものだと思います。絵を描いてブログを書いてマグニフィコ王のことを語りたくなる。そんなエネルギーを与えてくれる作品でした。願わくば、マグニフィコ王の物語がいつか語られますように!星に願いを込めて、祈ろうと思います。

透明水彩で描かれた、不敵に笑うマグニフィコ王のイラスト

 

フルチョやってみたレポ:番外編 天使の里と共に嵯峨嵐山を味わおう!

天使の里でオーダーしてから26日が経ちました。ドールオーナーさんとお話したり、ドールに着せたいお洋服をあれもいいな、これもいいなと悩んだりして楽しく過ごしています。 

 

そんな中でも色あせないのが、嵯峨嵐山の思い出!ドールに導かれ、天使の里を目指してはるばるやってきた京都と嵯峨嵐山では、びっくりするくらいおいしいものばかり食べました。とても素敵なフルチョの思い出ができたので、遠方から天使の里にいらっしゃる方や、天使の里周辺をもっと楽しみたい方に、おすすめのお店をご紹介したいと思います!泊まって良かった宿も書きました!たくさん写真を撮ったので、たくさん載せてまいります。

※今回ご紹介するお店は、天使の里がある方面(嵯峨嵐山駅北口から進んだ先)ではなく、嵯峨嵐山駅南口から渡月橋の方へ進んだところにあるものになります。位置関係にご留意ください!

 

 

京都駅:ぶぶる

マリオのキノコのぬいぐるみと一緒に、ほうじ茶のティーシェイクとモンブランが乗った玄米茶のティーラテが映っている写真。

ほうじ茶のティーシェイクと玄米茶のティーラテ(モンブラン味)

訪れた日がちょうどオープン初日だったぶぶるでは、とっても美味しいお茶の飲み物が飲めました!まだ開店したばかりだからか、初日とその翌日でも空いていて、ゆっくりお土産を見たり、運が良ければ座れたりする様子でした。様々なお茶の種類と濃さをカスタマイズできる、圧倒的な選択肢の多さお茶好きは必見です!

buburu.jp

わたしはほうじ茶でも量によっては体調を崩してしまうので、一番カフェインが少なそうな玄米茶のティーラテで、期間限定のモンブランのトッピングを選びました。玄米茶のうまみとモンブランの優しい甘さがうまく混ざり合って、大人の甘さでおいしい!もしカフェインが体質的にOKな方でしたら、ほうじ茶のティーシェイクもとってもおすすめです。ほうじ茶が超濃い!甘い!うまい!おいしすぎて帰りにもう1個違う味を買ってパートナーと分けて飲みました。お茶の味を楽しみたいなら果物のオプションはなしでもいいかも。京都駅に行くなら絶対寄るくらい好きです。

ほうじ茶ティーシェイクが1つ映っている写真。

ストロベリー味のほうじ茶ティーシェイク

 京都嵐山 中村屋総本店

フルチョイスに行く前、あまりの緊張何も喉を通らない状態になっていたのですが、何も食べずにフルチョするのも危ないだろうと言うことでコロッケを購入。アツアツのコロッケがサクサクで、人心地つくことができました。本当に助かりました。出来立てのコロッケっていいですよね~。同じように緊張で食欲が失せた人におすすめです。

中村屋特製コロッケと書かれた紙袋のコロッケを二人が持っている写真。

中村屋のコロッケ

www.nakamuraya.website

天使の里でフルチョを終えると17時を過ぎていました。この時間帯の嵯峨嵐山は、営業している飲食店が…少ない…!雨が降り、暗くなった道を歩いてなんとか後述するホテルYADO Arashiyamaに辿り着いたところ、コンシェルジュさんがこちらのイタリアンをおすすめしてくださいました。本当にありがとうございました…!

レモンが浮かんだジンジャーエールのグラスの写真

ジンジャーエール

ノンアルコールの飲み物もかなり充実して、店内はオシャレな雰囲気です。ジンジャーエールの時点でもうべらぼうにうまい!スパイスが効いてて、クラフトコーラのような味です。また飲みたい…。

レモンが添えられたサーモンのカルパッチョの写真。サーモンの上に香草が乗せられており、下に茄子が敷かれている。

サーモンのカルパッチョ

京都旅行で一番忘れられないおいしさだったのがこのサーモンのカルパッチョです。超絶おいしい!おいしいのにおいしさを構成する要素が分析できない!なんかうまい香草…なんかうまい味付け…。サーモンと茄子の口解けが感動的…。前菜なのにメイン級のおいしさでした。次行くときも絶対頼みたいです。

 

手前には九条ネギとしらすが敷き詰められ、奥にはチーズがたっぷりかかったピザの写真。二つの味で構成されている。

九条ネギとしらす、クアトロフォルマッジのピザ

ピザはお好きな味を二つ選んで一枚にすることもできます!ピザは窯焼き九条ネギとしらすのピザは、紫蘇がほのかに香るソースがおいしい!クアトロフォルマッジはあまじょっぱくてうま~い。デザート感覚で食べられますね。

 

本当はデザートも食べたかったのですが、小食のパートナーが満腹になったのでお会計です。これくらいの量なら2人で6000円くらい!雰囲気良し、味も良しなのでお値段以上の満足感でした。とってもおすすめ。

 

YADO Arashiyama

嵯峨嵐山付近でホテルを探していて、何を選べばいいのかわからなくなったので、おいしい朝食がついてくるところに決めました。出汁茶漬けとか絶対おいしいので…。

mama-arashiyama.jp

ホテルのお部屋は最低限のものが揃ったこじんまりとした、落ち着く感じの雰囲気です。シャンプーとコンディショナーとボディソープはありますが、メイク落としはないので、持参するのがおすすめです。洗面台の鏡もちょっと遠めなので、メイクをしたい方は鏡を持ってくると吉です。

 

待ち構えていた朝食です!予約するときに確か朝食の時間を選べたと思います。

徳利のような器に透明のだしが入っている写真

お迎えだし

「お迎えだしです」

お迎えだしって何!?

まず出てくるのが温かいおだしです。なんかうまい。温まります。

 

黒い器に冷たい味噌汁が入っていて、木製のスプーンが手前に置かれている写真

冷や汁

次に冷たくて小さな冷や汁が出てきます。一つひとつの料理に違う出汁が使われていておいしい!苦手なきゅうりが入っていたのですが、おいしすぎて普通に食べられました。

焼き物のような質感の器に蒸したズッキーニ、サツマイモ、しいたけ、パプリカが入っている写真。

季節野菜の出汁蒸し

季節野菜の出汁蒸しお塩味噌でいただきます。普段あんまり進んで野菜を食べないのですが、めちゃくちゃうまい。

豆腐と緑の野菜とキノコが入っている味噌汁の写真

味噌汁

温かい味噌汁もおいしい!そしていよいよ待ちに待った…

9つの色とりどりの皿に、様々なおかずが乗せられている写真。

豆皿料理※エビアレルギーなのでエビを抜いてもらっています

9つの豆皿料理!

食べる順番が決まっているという徹底ぶり。全部…全部がうまい!トマトがどちらかというと苦手なのに、柔らかくておいしくなっていて感動しました。それぞれの野菜の良さが味付けによって引き出されている…!

ご飯が入っている羽釜の写真

羽釜ごはん

炊き立ての羽釜のごはんとおいしいおかずで無限に箸が進みます。

海苔とあられと鯛が乗っているお茶漬けの写真

ドリップ出汁の鯛茶漬け

500円を追加で払うと、羽釜ごはんのお米を使って鯛茶漬けが食べられます。(小食の人は追加しなくてもいいかも。)コーヒーをドリップするみたいな装置が出てきて、出汁をドリップしてからいただきます。ポットが熱いので火傷注意。ほっこりする味です。

 

出汁へのこだわりメニューの多彩さがすごいです!見ているだけでもう一回食べたくなってきました。

6つの料理にそれぞれ違う出汁が使われていることを説明している紙の写真

料理ごとの出汁の説明の画像

朝食のメニューを説明している紙の写真

おしながき

地サイダーも追加購入で頼めます。爽やかで最高!

保津川柚子サイダーの瓶の写真

保津川柚子サイダー

ここに泊まってよかった…と心から感じる、最高の朝食でした!小食の方には重めのメニューになってしまうのですが、美味しいものを確実に食べたい人はぜひ。

 

手打ち蕎麦 芳汕

このお店も夕方に営業しているのですが、蕎麦が売切れ次第終了な点に注意です。夕食で食べられなかったので、YADO Arashiyamaの後の昼食を食べに来ました。

ニシンが浮かんでいるシンプルな蕎麦の画像

にしん蕎麦

トッピングはシンプルで、ほっこり温まる味!秋冬は特におすすめです。出汁がおいしい~。

www.facebook.com

 

お土産編

せっかく京都に来たなら、お土産も買いたいところ!ただ、嵯峨嵐山は紅葉シーズンでもない10月中旬でさえ、観光客と修学旅行生でごったがえしています。以下の情報がサクッとお土産を買って、ささっと帰る一助になれば幸いです。

 

青い空と渡月橋の川辺が写った写真

晴れた日の渡月橋

りらっくま茶房

リラックマの形をした大きな地蔵が竹林のような背景の中に立っている写真

しあわせのリラックマじぞう

かわいいものが好きな人は必見!リラックマのグッズがたくさん置いてあるお店です。お土産に買ったはちみつプリン生八ツ橋が甘くておいしかったです。ちょっとレアなフルーツの味付きのはちみつも売っています。

 

おたべ 嵐山店

www.otabe.kyoto.jp

自分の分を残さずに配り切ってしまったので味が分からないのですが、お土産を配った人たちにとても好評だった生八つ橋です。なんと個包装!お土産に最適!モンブランキャラメル味がオシャレです。今度自分用に買います。

 

パンとエスプレッソと嵐山庭園

写真を撮らないうちに食べてしまったのですが、美味しいパンが買えて、イートインもできます!明日の朝食のパンが欲しい人はぜひ。香草のパンや和風のパンなど、味がなんだかオシャレでおいしいです。Instagramもオシャレ!

bread-espresso.jp

京都駅のお土産と、ぶぶる

京都駅にも広いお土産屋さんがあります!嵯峨嵐山の人混みの中で探すのが辛い人は、京都駅で買うのもおすすめです。

行きにも立ち寄ったぶぶるは、お土産も盛りだくさん!あられやふりかけ、お茶や甘いお菓子が売っています。私はお茶とフルーツの味がするチョコクランチを買いました。甘くておいしいですよ~!

ぶぶるで購入したチョコクランチの紙袋の写真

ぶぶるのチョコクランチ

ドールに導かれて

そんなわけで、とっても楽しくておいしい、思い出に残る京都旅行でした。京都に行こうと思ったのも、ドールとの出会いがきっかけです。ドールに導かれて、素敵な旅をして、素敵な人たちにたくさん出会うことができました。1月のお迎えまで、ワクワクする毎日のことをこれからも書いていきたいと思います。

次回からはお迎え待ち編として、購入したアウトフィットのことや、お迎え待ちの間にしていることなどを書いていこうと思います。今回も読んでいただき、ありがとうございました!

『映画すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』感想:モノに溢れる世界の中で、大切な一つを愛する人へ

今年も映画すみっコぐらしを映画館へ観に行きました。1作目の『映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』を配信で観て以来、すみっコぐらしの大ファンになってしまい、2作目を映画館で観て、今作も楽しみに待っておりました。観終わって、この感動を誰かに伝えずにはいられない!と思ったので、ブログを書いています。映画館を出た後に買った、くま工場長工場のてのりぬいぐるみのなんといとおしいことか…!彼らをパソコンの隣において、さっそく語り始めようと思います。 

映画すみっコぐらしのパンフレットの上に、工場とくま工場長のてのりぬいぐるみが置かれている写真

工場とくま工場長のてのりぬいぐるみ

ちなみに、わたしが鑑賞した映画館ではてのりぬいぐるみの販売はありませんでした。映画を観終わって、手元にこの子たちがほしい!と思った方に、公式のグッズ販売の開催店舗リストがご参考になれば幸いです。 映画館で買える特別版のパンフレットも、制作秘話や絵コンテが載っててとってもおすすめですよ!

www.san-x.co.jp

 

  • ネタバレなし感想 
  • 1作目に引けを取らない名作 
  • ネタバレあり感想
  • すみっコも、みにっコも、いきいきと! 
  • 大量消費社会と、大切なものと 
  • オタクと、モノと 
  • すみっこから、もう一つのすみっこへ 

 

 

ネタバレなし感想 

1作目に引けを取らない名作 

映画すみっコぐらしの1作目、『とびだす絵本とひみつのコ』は、子どもが楽しめる優しくてかわいらしい世界観と、大人でも涙せずにはいられないような切ないストーリーが話題となった作品です。1作目のインパクトが大きい以上、どうしても後に続く作品は比べられてしまう部分があります。2作目『青い月夜のまほうのコ』は、優しい世界観はそのままに、魔法とすみっコの組み合わせをユーモラスに描きました。3作目の制作が発表されてから、次はどんなすみっコに出会えるだろう?とハラハラドキドキしていました。 

 

1作目は多くの人に感動をもたらした反面、切なすぎるラストには悲しくなってしまう観客も少なくなかったと思います。すみっコぐらしの世界観を活かした優しくて切ない物語と、子どもたちが笑顔になって映画館を出られるような物語とのはざまで、制作陣の方も悩まれたのではないでしょうか。 

 

そんなわたしの心配をよそに、今作はより進化した映画すみっコぐらしを魅せてくれました。1作目よりもさらに、すみっコ一人ひとりの性格の違いが描かれ、みにっコたちも大活躍し、アクション(!)もあり、それでいてしっかり胸を打つ。今までになかった、けれどもしっかり「すみっコぐらし」である作品に仕上がっていたと思います。 

 

「1作目で感動したんだけど、今作はどうだろう…」と迷っている方や、「最近すみっコぐらしに(自分が/子どもが)ハマったんだけど、今作から観に行っていいのかな…」と思っている方には、自信を持って今作をおすすめしたいです。 

 

ここから先は、ネタバレを見てもOKな方向けの感想になります! 

 

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