ジャムの瓶の底

ドールとの暮らしや、漫画・映画・アニメ・ゲームのことを書きます。自分用の備忘録です。

フルチョやってみたレポ:その①決意編―サファイアとドルおじに導かれて―

2023年10月20日(金)、天使の里で初めてフルチョイスを行いました。わたしにとってはこれが初めてのドールのお迎え(の第一歩)でもあります。フルチョするに至るまで、様々な方の発信から学ばせていただき、勇気もいただきました。初めてのこと尽くしだったフルチョの体験を、記念として残すとともに、誰かのためになればいいな…という祈りも込めて、綴っていこうと思います! 

 

このブログでは、大きく分けて四部構成でフルチョレポを記します。構成は、ドールのお迎えを決意するまでの「決意編」、フルチョイスをするために必要な資料を作るまでの「準備編」、フルチョイス当日の様子を記した「オーダー編」、そして実際にドールをお迎えする「お迎え編」の四つを予定しています。わたしは10月20日にオーダーメイクでオーダーしたので、お迎えは1月上旬の予定です。そのため、「お迎え編」の更新はそれまでまったりとお待ちいただけましたら幸いです。 

 

 

いつからドールに興味があったか 

はっきりとしたきっかけは覚えていないのですが、一目惚れしたドールに出会ったのは5年前のことでした。Twitteで、特定の作品のキャラクターの姿かたちで生み出されたキャラクタードール(キャラド)に出会ったのが、もしかしたらドールとの初めての出会いだったかもしれません。なんとなくドールを知っている状態から、「お迎えしたい!」という状態へと移ったきっかけは、BJD CROBIZionとの出会いでした。 

dolk.jp

凛々しい中にあどけなさがある目元、優しげな微笑み、ブラウンのウルフカットにエメラルドの瞳。その画像を見たときに、「なんて理想的な子なんだろう!」と思ったのを、あの子の姿を、今でも鮮烈に覚えています。 

Zionと出会ってからは、彼をお迎えした(その頃は買うことを「お迎え」と呼ぶことさえまだ知らなかったと思います)人のブログを見たり、Twitterを見たり、DOLKのサイトを見たり…とドールへの興味が尽きませんでした。当時はまだ、自分でお迎えのためのお金を用意することができませんでした。ただただ「いつかお迎えする」と心に決めて、情報を集め続けた日々でした。 

 

彗星のように現れたサファイア 

ドールについて調べては諦め、調べては諦め…を繰り返しつつも、心のどこかでいつも小さな炎が燃えているような人生を過ごしてきました。そんなわたしが不意にネットで見つけたのが、ボークスの「SDGr サファイア」でした。 

dollfie.volks.co.jp

2021年10月末に姿を現したサファイアは、わたしにとっては一度見たら忘れられない、運命の人でした。少女漫画のキャラクターのように大きな瞳、それでいて少年のように凛々しい眉、あどけない唇、決意の中に迷いを秘めたような表情に、一瞬で虜になりました。

 

そしてサファイアについて調べるうちに、男の子の心と女の子の心を持つという彼女の来歴を知り、「中性的な子が好きなんだ」と気づかされました。 サファイアの見た目だけでなく、サファイアが背負う物語や魂が好きでした。大好きなキャッチコピーをご紹介します。

「美しく、凛々しく。自らに真摯に生きることの大切さを表現します。」

【手塚治虫】スーパードルフィー リボンの騎士 SDGr女の子 サファイア【VOLKS公式】 - YouTube

 

喉から手が出るほど欲しかったサファイアですが、当時は金額を理由に諦めます。病気が原因で働ける状態になかったからです。それでも諦めきれず、ドールへの憧れを胸に暮らしていた、そんなあるとき… 

 

 

2023年6月、サファイア再販!!! 

職場の休憩時間に、すっとんきょうな声が出そうになりました。そして急激に思考が脳裏を駆け巡ります。今、自分は働いている。お迎えするための資金を自分の力で用意できる。このタイミングで再販されたのは、運命ではないか?これは、お迎えするしかないのでは…? 

ドールの「お迎え」という言葉が、初めて自分の人生に交差しました。それが、サファイアとの二度目の出会いでした。 

 

「ドルおじ」が押してくれた背中 

サファイアと2回目の出会いを果たすまでに、自分とドールとの距離を近づけるあるきっかけがありました。それが「ドルおじ」です。さとうはるみ先生が2022年8月に投稿した1話から始まった、ドールのスターレットと矛崎真澄さんの物語が、『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』です。現在では月刊コミックバンチで連載され、web上のくらげバンチでも読める「ドルおじ」ですが、Twitterで更新が始まったときに、わたしはこの漫画と偶然出会うことになります。 

※現在の連載はこちらで読めます

https://kuragebunch.com/episode/4855956445093712892

緻密な描線で描かれる可憐なスターレットと、どこか愛嬌があって感情移入してしまうような真澄さんの物語は、わたしをドールの世界の奥深くへと誘ってくれました。ドールが自分の暮らしにいることが、こんなにも素敵なら、お迎えしてみたい!そんな気持ちになる作品です。「ドルおじ」と出会っていなければ、自分は今こうやってフルチョをしていなかったと思っています。 

 

ドールに託した祈り

サファイアとの再会と「ドルおじ」の導き。そこからは毎日のようにボークススーパードルフィーについて調べました。そもそもスーパードルフィーとは?キャストドールとは?黄変とは!?抽選って何!?調べれば調べるほど、不安なことも知っていくのに、どうしようもなく自分の傍にドールにいてほしいと思ってしまいました。 

 

ここからは、ドールをお迎えしたい動機の根っこの(とても個人的な)話になります。わたしには大切なパートナーがいるのですが、パートナーと一緒に過ごせないときには強い孤独を感じます。つらいことがあったときに、悲しみや怒りを一人で抱えきれないようなような、そんな気持ちがずっとありました。交友関係が狭く、数少ない友人とパートナーだけが話相手の自分は、誰かと話せないとき、自分の気持ちを受け止めてくれる存在がいないことに悩んでいました。他者に強く依存するようなことはしたくないけれど、「自分で自分を大切にしよう」「自分を好きになろう」みたいな言葉はどこか上滑りして聞こえました。自分のことは雑に扱ってもいい、みたいな感覚がありました。

 

2023年4月に放送された、ドキュメント72時間「いとしのドールに見つめられて」という番組では、ドールをお迎えする人の様々な声が記録されています。ある方は「男の子になりたかった」という夢をドールに託して、自然の中で凛々しく佇むドールを撮っていました。その方の幸せそうな顔を見て、「ドールに夢を託しても、いいんだ」と気づかされました。ノンバイナリーという性自認に色々あってたどり着いたわたしは、その方の言葉に強く勇気づけられました。ノンバイナリーとして自分を定義して、顔の見えないSNSの中で自己表現することができても、顔や身体そのものを理想的な形にすることはできない。自分の容姿や身体に打ちひしがれることを何回も経験しました。でもドールになら、その理想や祈りを託すことができるスーパードルフィーの精霊ボディなら、性別のない身体だって表現できる。そんな生き方をしてみてもいいんじゃないか、と思いました。

 

「人に似せて作られたドール。人が果たせない役目を務めている。」

2023年4月7日放送『ドキュメント72時間』「いとしのドールに見つめられて」


番組内で語られたこの言葉は、ドールのあり方をとても的確に表現しているように思います。 

 

別れと、フルチョイスとの出会い 

サファイアをお迎えするためにボークスのVS会員になり、近場のドールポイントに意気揚々と赴き、惨敗したわたしはオンライン抽選に全てを賭けることになりました。原作も読んだし、絵も描いたし、服まで買っちゃったし、願掛けもバッチリです。

リボンの騎士のサファイアがこちらに向かって右手を差し出している様子を描いた水彩画。

サファイアのお迎え祈願絵

一方で、心の中には有象無象の不安が渦巻いていました。「本当にこの散らかった部屋にお迎えできる!?」「こんなに人気なら、もしかしたらご縁がないのでは!?」「版権のヘッドってこれから先何かあったときに有償交換してもらえるのだろうか…!?(これがかなり大きな懸念でした)」 

※有償交換の対象について知る方法は、公式にご質問されるのが一番正確です。こちらの心配については、当ブログではなく公式の情報をもとにご判断ください。 

下取り交換サービス | Super Dollfie®公式サイト - superdollfie.net

 

そんなときに脳裏を掠めたのが「フルチョイス」でした。スーパードルフィーにはサファイアのような「限定モデル」とは別に「ワンオフモデル」があり、更には自分で様々なカスタマイズができる「フルチョイスモデル」があるとこの数か月で知りました。Twitterで見かける様々な美しいドールたち。その中でも際立って惹かれるのが「SD101番」のヘッドでした。 

SDフルチョイスモデル | ボークス公式 ドルフィー総合サイト

 

 

フルチョイスなら、何かあったときには有償交換してもらえる可能性が版権コラボの限定モデルよりも高い。長く付き合う上で安心だし、何より、世界で一人だけの子自分の手で生み出せる!(わたしはものすごく心配性なので、「何かあったとき」のことばかり考えていました。)調べるうちに、フルチョイスモデルに心が少し傾くときもありました。それでも、一目惚れしたサファイアに全力投球しなくては絶対後悔すると確信していました。 

 

そんな中迎えた当落の日。いつの間にかドールのフォロワーさんも増え、応援していただいていました。結果は… 

サファイアの抽選販売に落選したことが通知されたメールのスクリーンショット

落選! 

そのメールが来てからは、その日の仕事もなんだか現実じゃないみたいで、「こんなに自分はお迎えできると信じ切っていたのか…」と落胆しました。着せるつもりで買った鏡のセーラー服セット、どうしよう…とボンヤリとスマホを見て打ちひしがれていました。 

 

残されたのは、「ドールをお迎えしたい」という揺るぎない、行き場のない熱意だけです。その熱意がじりじりと自分を焦がし、なんだかまでチリチリと痛んでいました。ならば答えは一つ。

 

フルチョするしかない! 

 

SD101番のヘッドは、現状では(フェアなどがない限り)天使の里限定でした。サファイアに応募するために会員になっている今の自分なら、里に行ってフルチョイスすることができます。買ってしまった鏡のセーラー服セットも、SDサイズの子なら着ることができます。 

 

 

ドールがいない生活じゃなくて、ドールがいる生活がしたい!自分の夢を託した、自分だけの子を作って、その子を大切にするように自分のことも大切にできるようになりたい。素敵なお洋服を着せて、いろいろな写真を撮ってみたい。美しいドールに絵のモデルをお願いしたい。そんな思いが、今なら叶えられるかもしれない。というか、一日も待っていられない! 

 

そんな逸る思いに任せて、わたしはフルチョイスすることに決めたのでした。